*乱読事始め*

気の向くままに視覚に入った本・インスピレーションを感じた本の感想を書いてみます。

不動産関連本:題名はかなり衝撃!ですが。。。。ー不動産屋は笑顔の裏で何を考えているのか? 大友 健右

再び不動産関連本をPick Up。

本の題名はかなりインパクトがあるし、導入部分は 

サー・アカロフ「レモンの原理」を漫画で簡単に情報の非対称性の壁を

説明してあり説得力がある。

不動産業界? って 現場はどんな商売のやり方をしているの?

知りたいなー と思っている人にはお勧めです。

とはいえ、字体も大きくさらーっと読めるので、立ち読みして

必要だったら、購入というレベル。

 

 

第一章では 不動産業界の問題点を余すことなく提示。

「なぜ」の五連発で 不動産業界の習慣や業界用語、

住宅流通のカラクリ・BLACK BOX の仕組みを教えてくれている。

 

第二章では 実際の住宅業界の現状とBLACK BOX Businessの中身と運営について実態をわかりやすく図解。

 

第三章では 不動産業界が活性化するには? 著者の意見をあますことなく

吐露している。

また、ここでは著者が代表を務める「ウチコミ」不動産サイトの紹介と

その強みについて紹介。

 

第四章では 既得権益の壁が崩壊 買手優位

不動産サイトを利用した集客についての利便性と将来性 そして業界の未来展望。

ネットを主軸にした不動産売買・媒介のビジネスモデルへ

シフトしていくだろうと 今後15年の予測をしている。

 

<住宅流通革命の3つのウエーブ>

ネットの3つのウェーブとして

第1の波   不動産入口サイト / 情報はタダでみられる

第2の波   ウチコミ 口コミサイト / ネットで裏情報がみられる

第3の波   オークションサイト / ネットの住人が自分たちで始める。

 

小さな市場が出来てくると、そこから「できる人」だけが突き進み、既成概念を取り払われた市場が成長を遂げる。

 

ということなんだそうな。

できる人が著者のような人たちなのでしょうか? 

不動産業界のような 義理人情の因習が根強く

残る業界は啓蒙・教育が大変だと思うので、今後はどうなっていくのか?

10年後ぐらいにならないと、大きな変化は感じられないと思うな。

個人的には。。。

 

<お役立ち? 著書で見つけた簡単な不動用語をMemoしておきます。>

指値ー値引いた物件価格

買付ー買付証明書

仲手ー仲介手数料

ヌキーお客様の横取り?

担ボーー担当者ボーナス(仲介手数料とは別に営業担当者へ支払われる手数料)

これだけでも何の事だか? さっぱりですが、

隠語の使い方次第で彼らの会話の概要は理解できそうです。(笑)

不動産屋は笑顔のウラで何を考えているのか?

不動産屋は笑顔のウラで何を考えているのか?

 

 

 

たまには美術関連本を楽しみたい。 残酷な王と悲しみの王妃ー中野 京子

大好きです。 中野 京子さん

彼女の美術評論本をこれまで、何冊読んだことでしょうか?

はじめて読んでも、繰り返し読んでも、美術と歴史を楽しめる唯一の評論本。

 

私のような受験勉強レベルの世界史からスタートした凡人は

本書に巡り合う事がなければ、ヨーロッパの美術館に足を運んでも

分厚くて、面白みに欠ける 美術本やガイドブックの知識で

お腹がいっぱいになって、当時の王様や王妃の苦悩や生き様に

目を向けることもなく、「広くて大きな美術館だったね。」と

建物の印象が残るばかりで、猫に小判 な旅人として 終わっていたでしょうね。

 

本書で取り上げているのは、

1)スコットランド女王 メアリー・スチュアート

2)スペイン・ハプスブルグ家 マルガリータ

3)ロシア イワン雷帝

4)ドイツ ゾフィア・ドロテア妃

5)ヘンリー8世妃 アン・ブーリン

 

どなたも甲乙つけがたく、国も時代も個性も、そして人生も運命もそれぞれだが、

絵画を通して王様や王妃の苦しみや悲しみ・・・

生まれ落ちた時から 外交の切り札となり、翻弄されていく人生模様を

中野 京子さんの視点を通して多いに楽しめます。

 

残酷な王と悲しみの王妃 (集英社文庫)

残酷な王と悲しみの王妃 (集英社文庫)

 

 

 

 

 

不動産関連本:空き家問題-1000万戸の衝撃

本を読んではいるものの、アップデートをさぼりにさぼって、早くも1か月半。。。。

 

このところ、不動産関連本ばかり読んでいたので、頭の中はビジネスモード。

内容がネガティブなだけに

メンタル的にはあまりよろしくないですが、頑張って読んだ

理由は2つ

<その壱:不動産バブルの再来?>

不動産ブローカーの現場はかなり特定エリアにターゲットを絞って、投資物件や遊休土地を探している一攫千金を狙った人々で溢れており、都市の一等地では

ビジネスチャンスを狙って虎視眈眈とうごめいています。

 もちろん私のような一般人はカヤの外ですが。(笑)といままでは笑っていられたのですが、近頃はそんな余裕はありません。

我が家は一応、戦略特区エリアにかろうじて入ってしまったので、

毎日のように不動産エージェントからかかってくる「売りませんか?」のお誘い

セールスに正直いって。。。辟易してます。とはいえ、

一歩先を行くべく、空き家のもたらす影響・課題を頭に入れておきたい。

 

<その弐:高齢化の波>

2020年には4人に1人が高齢者となる現実を直視するべく、

さまざまな討論・議論が各自治体を中心に活発になっているが、果たして実際はどんなものか? 不透明で不安です。

特に近所の空き家が朽ち果てている様を現実におこっている現象として目の当たりにしつつも、東京オリンピックまでは、なんとかなるさ。といった風潮に国民全体が流されてしまっているように感じている。

振り返って己は来たるべき空き家問題に対応すべく策となる指針はないものか?

予想として俯瞰できるようにしておきたい。

 

不動産投資をしている人は避けて通れない問題なので、

知識として一読をお勧めします。

 

本書は5部構成となっており、

1章から3章は 空き家の抱える問題点に注視し、著者の持論展開。

4章から5章は 空き家問題の対応策ー著者の提案

となっている。 

今回は 空き家問題にフォーカスして知識の引用、また

現実問題に対応すべく、記録として書評を書いてみました。

 

第1章 増加し続ける日本の空き家

プロローグから現実問題を思いっきり突きつけられます。

 

総務省では5年に1度の割合で全国を対象に「住宅・土地統計調査」を行っています。平成20年(2008年)の調査結果によれば、国内の住宅総数は5759万戸、平成15年から比べると、人口の伸びない中で、5年間に370万戸、6.9%も伸びています。一方空き家数は住宅総数の増加率を上回る14.6%、97万戸も増加し、総数では757万戸に達しています。これを総住宅数に占める割合(空き家率)でみると、13.1%になります。前回調査で 12.2%ですから、作れば作るだけ空き家の割合がどんどん増加していくのが今の日本の状況ということがわかります。

さて、この増加の状況ですが、このままいきますと、平成32年(2020年)の東京五輪開催の時にどうなっているのでしょうか。過去5年間で97万戸、つまりこのまま毎年20万戸空き家が増加していくと仮定した場合、平成32年(2020年)までにプラス240万戸となり、空き家総数はなんど1000万戸の大台に到達してしまいます。

ここまで、ざーっと読んで、空恐ろしくなりました。

さらに読み進めてみると、もっと厳しい現実。 

世帯全体に占める割合も高齢者単身世帯で昭和58年(1983年)にわずか2.8%にすぎなかったものが平成20年(2008年)では8.3%に膨れ上がっています。この調子で増加が続けば、日本の住宅の10軒に1軒はお年寄りの「おひとり」住まいということになってきます。

この数字はかなり信憑性が高い。

都心の一等地でも放置された空き家は増加傾向にあります。

高齢者でも住んでいれば、多少でも建物がお手入れされますが、

相続された場合は 相続人に財力がなければ、解体もままならず

そのまま空き家として放置。

人気のなくなった家は犯罪者の隠れ場所になってしまったり、

浮浪者が住み着いて占拠してしまったり。。。

さまざまな弊害を招く要因になります。

行政も各地域によって条例を適用し、空き家対策として解体費用を補助金として

一部負担するという策も取られていますが、高齢者と空き家の増加に現状が追いついていけず、運用の方法を間違うと破綻。。。。その場しのぎにすぎない。延命策であり、解決の糸口とは言えない。

つづいて、

 

かつては人口の伸びや核家族の影響化で、いわば細胞分裂のよう世帯数が分割され世帯数が増加してきたのが、日本の姿でした。

現在の日本は、すでにある2人ないし3世帯が子供の独立や配偶者との死別、離婚などによって、世帯としての規模を縮小しながら高齢者単身世帯に収斂していくという姿に変質してきているのです。

 

 と続く。 

この章では首都圏人口比率における高齢者人口の増加により、市場の求めるニーズと現状が乖離していると警笛を鳴らしている。

 

この現状を数値で示すと

65歳以上を 「高齢者」と定義し人口構成からみると、

高齢者が首都圏全体の人口に占める比率=高齢者比率は 20.7%

過去の推移からみると、

昭和55年(1980)は 7.0% だったので、35年で3倍の勢いで急伸している

のがわかる。

このデータを今後の首都圏における人口推移予測も加えて推測すると、東京五輪を迎える平成32年(2020)には 首都圏の人口「3200万人に対して高齢者は926万人

高齢者比率は26.5%となり、首都圏で暮らすお年寄りの数は4人に1人となります。

さらに踏み込んで、「地方都心の悲鳴・賃貸住宅は空室の嵐」を読み進めてみると

 日本の各地で賃貸住宅の空き家が急増しています。

平成10年(1998)の調査では全国の賃貸用住宅の空き家数は352戸、10年後の平成20年(2008)の調査では413戸。実に17%の増加です。

 安定していた家賃収入が得られる土地有効活用の優等生は過去の話。

と認識させられます。

 

第二章 空き家がもたらす社会問題。

ここの章では 高齢化により空き家が問題が

どんな現象で現れ来るのか? 起きているのか?

具体例を示してくれている。

売りたくても売れない不動産

「高級戸建」 だれもが羨む簡素な住宅街。以前よりも

価格は落ちたとはいえ1億はくだらないエリアですが、まったく売れない。

ニーズがない。 価格云々というよりも ニーズがない。

 

2040年には空き家率40%時代に?

住宅投資額と住宅資産額の推移につい興味深い文章を見つけたので

そのまま引用します。

 

国土交通省によれば日本ではおおむね毎年約十数兆円もの住宅投資がおこなわれているが、国民経済計算のデーターによれば日本の住宅資産額(つまり価値)は常に220兆円から250兆円ほどで価値は上昇していません。

換言すれば、価値の増加しないマーケットに毎年十数兆円もの新たなお金がつぎ込まれている極めて珍しい国ともいえる。

その新築住宅をいまでも変わらずにありがたがって購入しているのですから、日本の住宅メーカーはよほどの知恵ものという見方もできる。

実際には新築住宅の価値は時間の経過とともにどんどん低下し、10年で半値、25年ほどで建物価格はほぼゼロになるのが日本です。

この減額を補うだけの土地価格の上昇があれば、新築住宅を偏重考え方は理解できるが、実際にそれだけの価格上昇を実現できる土地は、今や日本の中でもごくわずかでしょう。

 

ということは、東京都内23区の中でも「戦略特区」以外は価格上昇を期待できない。

くわえて、空き家と税金の問題が目の前に迫ってくる。

これもそのまま引用してみよう。

 

固定資産税には各種の特例措置、調整措置があり、「住宅用地の課税標準の特例」といって、敷地面積のうち200㎡までの部分を小規模住宅用地と定義し、課税標準を登録価格の6分の1にするという調整措置です。

今までは住宅として利用していたわけですから、この特例が適用されていたわけです。

税額が15万円とか20万円と言っていたのは、実は6分の1に減額されて調整後の税額だったわけです。

ところが、土地の上にあった家屋が消滅すると課税標準計算上は「住宅用地」とみなされず、ただの更地としてカウントされてしまいます。

つまり、敷地面積が200㎡に以下だった家屋については解体更地化し間に固定資産税は「6倍」に跳ね上がることになるのです。

 こんなカラクリがあれば、だれも相続した空き家を解体して更地にしようとは思わない。

これでは今後土地の維持が出来ない。→ 何のために相続したのかわからない!

何の利益も生み出さない資産を引き受ける事になってしまうのです。

税金の問題が絡んでくると。。。事はさらに深刻に。

まずは 評価額を算出する上で算出の根拠となる路線価評価とは?

方法として3つが採用されている。

1)原価法

2)取引事例比較法

3)収益還元法

ところが、上記の評価法は取引の実績がなければ これらの評価方法を採用することができず、不動産の価格がきまらない。

そうなると。。。よりどころは3年に1度行われる固定資産税評価。

それも 評価額が本当に正しいのか?という真面目な議論になる可能性が十分にある。「売れない」「貸せない」不動産に価値があるのか?と納税者が

自治体・行政に問いかけた時、彼らはどうこたえるのか????このような事態になればなるほど、価値を生まない→ 価値を生まない不動産に対する見方は厳しくなる。

利用価値が減ずることによって、当然地下は下がる、そしてその下がる価値に追随しない、あるいは、出来ない課税側との争いごとが急増する。-と予見できる。

どうにも困った状況に陥りそうです。

そんな状況をこまねいてみているばかりの自治体ばかりではなく、現実を真摯に受け止めて、改革を進めている自治体もあるらしい。

本書では 富山市コンパクトシティ と呼ばれる施策を事例に挙げている。

 

第3章 日本の不動産の構造変革

都心マンションが売れる裏側で

「視界良好」が続いているように見える不動産業界であるが、実は 土地の仕入れ値の値上がり+建築費用の値上がり ダブルパンチで 原価構成が30%も値上げしてしまい、更なる上は8%の消費税が加算されるので、仮に4000万円で購入できたマンションが5000万に跳ね上がってしまうのです。

政府が賃金の上昇を唱えたり、「フラット35」などの低利で長期固定の住宅ローンや税金の優遇策で支援してくれたとしても、手の届かない代物になってしまったようです。

 

進む不動産のコモディティ化

家をもつことは ステータスでもなんでもない、ごく普通・あたりまえに存在することになりつつある。「家」そのものが コモディティ化している。

車を例に 家 VS 車 をたとえてみると決定的な違いは車は朽ち果てていずれはスクラップになる運面であるが、家は経年劣化で価値が衰えてはいくものの、「所有権」が存在する。建物が朽ち果てて消滅しても土地は永遠に残っていく。つまり、

コモディティ化した空家はその場にどんどん堆積されて住宅としてのこっていく。

住宅に対する人々のニーズも時代とともに変化している。では ニーズに合わせて住宅を提供してくことが住宅を求める市場の今後の方向性指南となるのか?

ところが、このベーシックなニーズとなるカストマーがいない。。というのが現状である。

最初に買った住宅から前進・後進もできなくなってしまった状況が起こっているようです。

 

「本郷もかねやすまでは江戸のうち」

世界の誰もが経験したことのない事態に、日本は突入しようとしている。

65歳以上の高齢者の割合が38.9%となり、日本人はおじいさんとおばあさんの社会になっていくのです。

こうした社会の変化に対応していくためにはお年寄りを中心にした都市づくりを著者は本書で提案しています。

江戸の発展を大火との戦いを事例にあげ、享保16年(1721)の大火で大きく江戸の町が失われた当時の復興大臣「大岡忠相」が本郷の小間物問屋「かねやす」を江戸の北限に設定したことを提言し、

大岡忠相のように東京の線引きをやり直す時代が来ることが来るかもしれない。

東京は山手線の内側。外側は昔のように田畑となり、東京は江戸に回帰していく。

つまり、江戸・東京の縮小化を予想している。

現実的ではないにしても、ありえない予想でもない。

ここでも著者は 現実に向かいあい、世の中を俯瞰しながら対策を練っていくことを

問題提起している。

 

一気にここまで書いてみて、「空き家問題・2020年東京オリンピック後の東京」がひしひしと背後に忍び寄る気配がしてならない。

日本を離れて、海外へ活路を見出す? もしくは空き家活用方法を 国民・自治体・企業がタッグを組んで乗り越えていけるのか? 

ここ日本で見定めていきたいと思う。

 

空き家問題 (祥伝社新書)

空き家問題 (祥伝社新書)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

身の上話 - 佐藤正午:ノンストップで読めます。

やん事なき事情により、1月13日から中東(UAE~Egypt)へ旅に出ることになり、旅のお供に選んだ一冊。

「とにかく、小説が読みたい。」 という衝動にかられて

今回はサスペンス仕立ての小説を堪能しました。

 

著作は数年前にNHKの連続ドラマ化をされており、当時は戸田恵理香が

ヒロインを演じております。 NHKのオンディマンドでたぶん?興味のある方は

視聴することができると思います。ちなみに私は残念ながら、ドラマの方は見逃しております。

 

ストーリーは 平凡な地方の書店員だったミチルが 書店の先輩に頼まれて

宝くじを購入したものの、そのまま 不倫相手の見送りのつもりが、東京までついて行ってしまい、うだうだしているうちに、たのまれたお使い宝くじのなかに2億円!当選のくじが出てしまったことから、始まる。

おまけに 宝くじは一枚、余分に購入していたことが発覚。その間違いを利用して ミチルが2億円を独り占めすることを画策することから、物語が進んでいく。すごくリアリティがあり、フィクションなのか?と錯覚を覚えるぐらい。。まあ、事実はもっと泥沼でしょうが。。。

ミチルは頑張って、2億円を独り占めすることを画策するものの、これがまた隙だらけときており、彼女の回りの登場人物のお金をめぐる人間模様が読みどころ。結局 ミチルの2億円をめぐって殺人事件に発展。

第三者たちは都合のよい言い訳をはりめぐらせて、彼女=2億円をなんとか物にしようと躍起になります。

ミチルは間抜けで無知なので、読んでいてすごくストレスが溜まりますが、著者の力量で先へ先へと読み進んでしまいます。

 

この小説は第三者の事情説明から打ち明け話へ変化していくところが読みどころ。思わすラストで、打ち明け話の結末は鮮やかに終了。後味もすっきりする本でした。

旅のお供にはややボリュームがあるかもしれません。

 

身の上話 (光文社文庫)

身の上話 (光文社文庫)

 

 

 

士魂商才の経営者 出光佐三語録ー⭐︎

『海賊と呼ばれた男』の興奮が覚めやらず、
出光佐三氏の生の声を知りたくなって、手にした本書。
よくよく解説を見ると単行本の出版から30年の時を経て、文庫として復刻された様です。
これも 『海賊と呼ばれた男』の影響でしょうか?
内容は出光佐三氏の偉業をダイジェストで理解できる良書。
出光佐三氏の遺した
言葉の持つ重みと臨場感を 名言、至言から窺い知ることが出来ます。
又、作者の木本正次氏がいつ頃 出光佐三氏を知ることになったのか?は
もはや知る事は出来ませんが、木本正次氏の惚れ込み様は明らかで、
 小説 出光佐三 という評伝に繋がります。

解説はここでも百田尚樹氏が登場。
百田氏も出光佐三氏の生き方に魅了された人の一人の様です。

士魂商才の経営者 出光佐三語録

士魂商才の経営者 出光佐三語録




海賊とよばれた男…戦い抜いた経営者の軌跡 ☆☆☆

ちょっと古い話になりますが、ゴールデンウィークの後の平日に、明治安田生命の企画で百田尚樹氏の講演会に出掛ける機会がありました。

 
マスコミで活躍されている構成作家なので、きっとお話も上手いんだろうな。
と期待していたとおり、面白かったです。
 
大筋の話は二本立てで
「探偵 ナイトスクープ!」
の構成であっという間に引き込まれ、帰りに本屋に寄り道して購入した
すっかり刺激されて帰宅しました。
百田さんも「日章丸事件」については お仕事仲間の番組構成作家さんから
出光佐三氏の事を聞き、興味を持ったとの事。
暫くはいろいろな人と会うたびに「日章丸事件」って知ってる? と
聞いて回っていたそうです。 
戦後間もない昭和25年に大英帝国・石油国際カルテルに刃向い、
偉業を成し遂げた 出光氏の事をたくさんの人に知ってほしいと思ったのでしょうね。
そのよもや話を百田さんの次の作品に繋ぐべく、担当の編集者さんが
出光佐三氏と日章丸事件の資料を段ボール箱 ひと箱分 いきなり百田さんに送ってきたそうです。
そして資料を手にした瞬間から、この作品が生まれた。
偶然の出会いをきっかけに
「この人物を書いてみよう」と突き動かされた心の動きに感動して、
即決購入しました。
 
前置きは長くなりましたが、本書の内容は期待を全く裏切ること無く1日で読破。
食事も忘れて読んでました。
 
簡単に本書の説明をしますと。。。
小説の主人公 国岡鐵造のモデルになったのは出光興産の創業者 出光佐三氏です。
福岡県の宗像に生まれ 神戸商(現:神戸大学) へ進み 酒井商店で丁稚奉公
という当時はユニークなキャリアをスタート。
没落した家業の状況と家族離散の現実を知り、又 破天荒な資産家との出会いから
国岡商店(出光商会)を起業。
とまあ、長い小説なので、さわりはこのあたりで終了。
 
主人公の国岡は当時の主流だった石炭の時代は終わり、石油の未来が来ると予見。
石油の商いにこだわった。
潤滑油、機械油の扱いからスタートするものの、当初は全く相手にされず、
何度もくじけそうになるが、その都度困難を乗り越えていく実行力と信念は
今の時代の私達が知らなくてはならないのではないか。
 
仕事とは何か?
何のために仕事をするのか?
 
主人公の国岡=出光佐三氏は稀有な経営者・・・ゆえに伝説になったといえばそれまでだが、彼は決して特別な人ではなかったと思う。
ただ、実直に自分のやるべきこと。- 目標がはっきりしていた。 
だから、 小説上に登場する官僚、政治家、石油業界の面々の妨害や嫌がらせにも
屈することとなく、信じていた道を貫くことができたのだと思います。
しかしながら、官僚や業界団体という護送船団員の方々の
利己主義・ご都合主義は当時も今も変わらない。と改めて思わざるを得ない。
実際はこんなに生易しいものでは無いと思いますが、小説上は実名にて政治家の記載もあり、敵対していた会社名も判別しやすいので、あれこれ邪推してみるのも一考です。
 
また近代史の勉強にもなります。 たとえば、
日章丸事件の全容を知れば、イラン・イラク VS アメリカ のみならず
中東諸国 VS 欧米の旧宗主国 の根深い扮装の原因を垣間見る事ができるので、
先日も イスラム国にアメリカ人のジャーナリストが殺害されるという
残念な事件がありましたが、
負の連鎖を止める事の出来ない怨恨の連続は 正義を一方的に押し付ける
側にあるのかもしれない。
これを検証するために さらに本を読んでみるといいかもしれない。
 
出光佐三氏を生んだ日本はまだまだ捨てたもんじゃない。
日本人に生まれてよかった。と思う小説に今度はいつ?出会えるかな。
本を読むのはやはり楽しい。
そんな一冊でした。
 
海賊とよばれた男 上

海賊とよばれた男 上

 

 

 

海賊とよばれた男 下

海賊とよばれた男 下

 

 

 

雨の降る日曜は幸福について考えよう。ーロマンチックな題名?に散りばめられた小市民に贈る幸福アドバイス。

お勧めしたいのは橘 玲氏著作を初めて手にした読者。
というのも、過去の著作と重複する箇所が多いので。初心者向けガイド本的趣きが強い。
題名とお天気の状況が一致したので、読んでみました。

この人の本は思い切り落ち込むイントロから、小出しにその蟻地獄からの脱却の方法を指南してくれる。
イントロは御自身の貧乏体験からサラリーマン生活を通して眺めた引退後の人生設計。
醒めた突き放す様な視点で混乱と社会不安の問題を上げて、皆が豊かな生活を送る為に考えてみようと…誘ってくれる。

part1 幸福の法則、FAQ よくある質問とその回答、part2 正しさの問題 の2章構成。
part1は 著書の 『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』と『得する生活』と
重複する内容。巻末の参考文献で一目瞭然。リソースが同じですからね。

part1の参考文献・出典した書籍でもっとも影響を受けた本として
『監獄の誕生』ミッシェル・フーコをわざわざ取り上げているので、
思い入れがある様です。

私自身は part1とpart2の狭間に隠れたFAQが1番面白かったなー。
最後の質問: あなたの本で人生が変わりました。
このお便りには流石に橘氏も困惑したのでしょうね。
私が言いたいのは、要するにこれだけだ! として、
旧来の価値観が解体し、急速に変わりつつある世界の中で、自分と家族の人生にとって最適なポジションを確保すること。複数の選択肢から自分の人生を選ぶ自由を手放さないこと。
とハッキリ書いている。
これが次の著作に繋がる原動力なんでしょうね。…

part2 正しさの問題
この章では国民が正しいと思い込んでいる、否 思い込まされている問題を
橘氏的視点で検証し考え方の転換について問いかける。
特に『国家に国民を保護する義務は無い』が印象に残っている。
橘氏の意見がややゴリ押しの様に感じるので。
冒頭から???と思わず固まってしまう。
ジャーナリストや市民運動家イラクで人質になったことをきっかけに『自己責任』が話題になった。私は彼らの行動に対して、ごく常識的な感想しか持っていない。危険だと分かっている地域に自らの意思で出掛けた以上、自己責任は当然だ。しかしそれは、見殺しにされても当たり前、というような罪ではない。
これはよくわからない。危険地域に出掛けて、自分の意思と関係なく、拉致・誘拐された人は自己責任。まあこれは理解できるが…見殺しにされても当たり前?という罪? に値すると考えられてしまうのか?

国家の保護は権利の放棄と引き換えになっている。自己責任は自由の原理であり、私たちが国家から自らの権利を守る為の大切な武器である。人は自由に生きる方が幸福だ。そう考えるならば、国家に必要以上の『義務』をおわせてはならない。

ここまで来ると 国家の保護も複数の選択肢から自分の人生を選ぶ自由の一つということなのか?

違和感が残りました。


雨の降る日曜は幸福について考えよう Think Happy Thoughts on Rainy Sundays

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