*乱読事始め*

気の向くままに視覚に入った本・インスピレーションを感じた本の感想を書いてみます。

日本の真相!-船瀬 俊介:不都合な真実は都合良く隠蔽されてしまうことを知っておこう。現実はこんなにも残酷。

日本の真相! 船瀬 俊介

 

一昔前?に「買ってはいけない○○○○」系のフレーズで 一世を風靡した書籍はどこへいってしまったのだろう。

その時に得た教訓を思い起こさせる本書は、改めて今の生活は生命をじわじわと脅かす消費材と背中合わせということが実感できる。

 

著者は冒頭から 「真実を伝えるという決意」で だまされるな! 消費者よ! と言わんばかりの勢いで、語りかけてくる。

 

抜粋してみよう。

 

「世の中、めあき千人、めくら千人、残りの8千人はバカである。 市場とはこのバカによって構成される。」 これは某大手広告代理店の社長が言い放った言葉。

まさに顧客をバカとして見下し、卑下しきっている。

20歳頃の私は、この一文を読み体中の血が逆流する重いがした。文字通り、怒りで身が震える重いがした。

この方言こそが、私が20代で消費者運動に身を投じるきっかけを作ったのだ。

 

なるほど、思い上がった 大馬鹿の一人が言い放った一言で、船瀬氏は メディアのタブーの

一つ一つを掘り起し、伝えていくことを生業にする「決意」をさせたのである。

 

目次を見てみよう。

 

Prologue

隠された真実 マスコミ100のタブー

食品 偽りの栄養学とCMで人類は皆、餌付け されている。

農業 農薬、化学肥料漬けの近代農業は狂った選択だ。

環境 化学物質、電磁波の2大汚染が人類を滅ぼす。

電磁波汚染 うちは書けないと マスコミは口をつぐむ。

医療 近代医学は野戦病院の医学、9割の慢性病には無力だ。

癌治療 抗がん剤で毒殺、放射線で焼殺、手術で斬殺。

建築 コンクリートと鉄と化学建材が健康も景観も破壊した。

危険な都市 利益優先、乱開発で日本の都市は世界一危ない。

 

この章では、食品、農業、環境、電磁波汚染、医療、がん治療、建築、危険な都市

のタブー100を挙げている。

実に的確に無駄のない文章で、ばさばさと切っていく様は圧巻。

船瀬氏によると、まだまだ 日本には「言ってはいけない真実」がある。

さらに踏み込んで 「日本には報道の自由というものが存在しない。」 と言い切っている。

 

そう。いつの間にか 日本は個人情報保護法に便乗して、伝えなければならない真実も封印されてしまうようになってしまったのである。

 

「大丈夫。インターネットがあるじゃないか!」 と言いたいところだが、

インターネットだって、然るべき人々にしっかり統制されているのである。

タブーとされる真実が 検索機能できちんとヒットするのか?どうか? 疑わしい。

 

船瀬氏は訴えかける。

本書からさらに抜粋してみよう。

 

「見よ!」「聞け!」「語れ!」

さらに数えきれないほど、この日本社会には「言ってはいけない真実」がある。

一部 省略

日本には報道の自由というものは「存在しない。」

大から小まで、メディア、教育界に緘口令が敷かれた社会、それはまさに「封建社会」だ。

いやそれ以上の「暗黒社会」だ。

「目を見張れ」「口を開け」「耳を澄ませ」

これが未曾有の危機を生き抜く最低限の心構えだ。

現代の日本の目を覆うばかりの没落の元凶は、この「見ざる」「言わざる」「聞かざる」の3ザル症候群 にあったのである。

 

本書の内容はあまりにも衝撃が強く、又 検証をしたわけではないので、もろ手を挙げて受け入れることは出来ないが、全く根拠のない話でもない。ただ、告発された話を批判書として一喝するのではなく、垂れ流される情報に疑問をもち、パズルを当てはめるごとく、この出来事により、誰が一番得をするのか? 誰の書いたシナリオなのか?

身を守る為には立ち止まり、調べてみる。問いかける。検証する。読み説くだけの洞察力が必要になってくるだろう。

プロローグはあっという間に読み進める。おまけにこの100項目の一つを取り上げても一冊の本が書けそうだ。

どんな内容が書かれているのか? 目次はキーワードのようになっているので、以下 書き綴っておく。

 

Part1

抗ガン剤で殺されている日本人

猛毒抗がん剤では癌を治せない。

戦慄! 抗ガン剤 取扱いマニュアル

 

Part2

病院で殺される あまりにも恐ろしい日本の医療

有害無益な 5大検診 の病院狩りキャンペーン

長生きしたけりゃ食べてはいけない。 腹六分で寿命2倍

昭和天皇を殺した輸血

 

Part3

マスコミが沈黙する日本の危機

隠された真実 チェルノブイリ事故も地震で起こった。

巨大地震超高層ビル、大崩壊

リニア新幹線 10兆円の大暴走

300万世帯がだまされた! 本当は損する オール電化住宅

 

Part4

生き延びる為に知れ 生命を脅かす恐怖

水資源は 第二の石油に

水道管から発がん塗料が! 日本の水道水が危ない

500トン猛毒ヒ素を隠す八ツ場ダム

モンサントはもう許さん。 醜悪な農業マフィアの大罪

遺伝子操作食品の恐怖 フードインク(食品工場)が生み出す怪物たち。

支配された「教育」と「マスコミ」

<情報帝国主義>の柵を飛び越えよ。

 

どうだろう。 これだけ目を通しただけで戦慄を覚える。

全ての各章を読んでは溜息つき、重い気持ちになり、読後は不信感でいっぱいになった。

又、タイムリーに東京都知事の騒動や、三菱自動車の燃料データ不正操作等々、いったい何が真実なのか?わからなくなってきているだけに、

本書のサブコピー

「わが身に危険が迫ってもこれだけは伝えたい。」  この言葉に突き動かされて、勇気ある行動に立ちあがった人々がいるに違いない。そう思いたい。

知っている人は、知らないがゆえに搾取される人々を生み出してはならない。

知らない人は真実を知る機会を得て、誰もが

「石油メジャー」「金融メジャー」「軍事メジャー」の3大巨大資本に支配されていることを自覚することだ。

 

この本をリリースするのに、船瀬氏にどれほどの危険が迫るのか? はかり知ることは出来ない。しかしながら、

彼の思いが身を結び著書を手にする人が一人でも増えることを切に祈る。

ちなみに、本書は第2弾バージョンも上梓された模様。

まだまだ隠されている真実があるのかと思うと、暗澹とした気持ちになる。


わが身に危険が迫ってもこれだけは伝えたい日本の真相!

わが身に危険が迫ってもこれだけは伝えたい日本の真相!


不動産関連本:失敗に学ぶ不動産の鉄則-幸田 昌則:おすすめ&良書 不動産購入・投資の手引書としてわかりやすい内容です。

今年の目標とか打ち立てる人もいるが、

目標を高く掲げすぎると、目標までの道のりで挫折してしまうことが多いので、

明日の目標、来週の目標と細切れに頑張ってみたい。

というわけで、最低でもビジネス勉強本を1冊、趣味の読書から1冊、不動産本から1冊を最低でも1か月に3冊は記録できるようなるといいな。

(すごい低い目標なんですけど。)

と一応、頑張ってみたものの、ブログにアップするのが

億劫になり、さぼりにさぼって、早くも4か月。

継続こそが力なり。と自分に言い訳してます。

 

不動産本から今月はチョイスしたのは、

「失敗に学ぶ不動産の鉄則:幸田 昌則」

 

発行されたのは2009年、6年前の内容でも読みやすく、要点がまとまっている不動産購入者向け手引書です。

ご自身の主催するサイトのコマーシャルの連呼もあまりなく好感を持てる。

プロローグはクイズ形式の事例アプローチで読者の想定しそうな疑問から、「不動産の失敗」が繰り返される状況がなぜ起きるのか? 不動産の事をちゃんと勉強するように

個人、不動産業界、金融機関が繰り返す失敗事例を検証し、失敗の法則を解き明かしていきましょうよと、ばかりに問いかけている。

 

目次を見てみよう。

 

第1章 「いよいよマイホーム」の落とし穴

第2章 投資家を待ち構える罠

第3章 危ない不動産業者の考え方

第4章 懲りない金融機関

第5章 失敗に学ぶ不動産の鉄則

第6章 どうなる、どうする不動産

 

気になるトピック!ばかりだな~。

 

各章から 気になった箇所をPick Up してみます。

 

第1章 「いよいよマイホーム」の落とし穴

大幅値引きの「新価格」はお得か?

本文から引用してみましょう。

8000万円の新築マンションを2000万値引きし、新価格として6000万円に設定しました。

その結果、多くの人が、2000万円も値引きして売るのなら、お得だと意気込んで買いました。

そして、数年後、事情があって中古マンションとして売却をしようとすると、すぐには売れないうえに、最終的には購入価格の半値でしか売却できませんでした。

人間の心理として8000円の物件を2000万円引きでと言われれば、正直 一瞬 大きく心を揺さぶられるものでしょう。

しかし、よくよく考えてみれば、最初の8000万という値付けそのものに妥当性が無かったのです。

 

そうなんだすよね~。私の経験にでも

不動産のプロだから。。。。と思い、

賃貸マンションの家賃を決める際に、地元の不動産屋さんにお願いしてコメントを頂きましたが、

水回り設備の経年(つまり古いキッチン、浴室、洗面台)を挙げて、かなりの安値でないと

お客さんは付けられない。という趣旨の話でした。

当時は不動産屋さんのコメントを真摯に受け止めて、値下げしたけれど。

その根拠って妥当性は全くなかったな~。

 

本書でもさらに、つっこんで

 

新築のマンションの売り出し価格を見て、これは高いと感じても

「土地の取得価格が高かった。」「原材料の高騰で建設費がかかった」などと言われると、

不思議と納得することがあります。

 

まさに、その通り!

 

しかし、これはあくまでも売り手(不動産屋さん)の論理です。

 

なるほどね。

 

ここ数年も(2007年 リーマンショック直前)は地価が高騰していく局面がありましたが、購買力を超え、これからは、上り続ける」という集団心理が働いて価格が上昇していく現象は、すなわちバブルなのです。

 

あれれ、きちんと精査してみよう!

この現象は、今 東京オリンピックまでが不動産のピーク!とばかりに 地価が上がっている現在の

状況がぴったり!じゃありませんか!

 

さらに 著者は警告します。

 

バブルに近い状況でつけられた価格から、ある程度値引きされたとしても、それが妥当かどうかは

需給関係を見極めなければ正しい判断はできません。

 

ごもとっもです。

二度目のバブルが崩壊した現在、売れ残った物件の値引きも、当然のように行われるでしょう。

購入を吟味するときには、周辺の家賃や中古マンション価格などの相場と比較してみるべきです。

 

煽る不動産屋さんの手口に乗っかってはいかんぜよ!という助言ですね。

そうそう。あわてて購入したものの、後悔が一生続くような羽目になることは避けたい。

 

では、値下がり始めたら、Buyなのか?

いえいえ、著者はさらに

「値下がり始めの買い漁りは禁物」と警告します。

 

不動産の市場のからくりを

従来、不動産はその利用価値や付加価値に重点をおいて価格が決まっていました。

ところが、低金利が続き 不動産からの収益が高く評価されるようになり、

やっと欧米並みに「金融商品」として注目されるようになりました。

金融商品となると、不動産に世界中のお金が集まり始めます。

一方で投資する側の資金がショートしたり、不動産の金融商品としての魅力がなくなる。

→ 値上がりや収益への期待がなくなれば、投資の熱は一気に冷めてしまい価格は大きく下落。

という、メカニズムによって大都市の不動産価格は近年、乱高下が激しくなっているということらしい。

 

確かに。。。 先日 京都の7億だか8億のマンションが売れた!と評判になりましたが、

フタを開けてみると、購入者は東京在住の富裕層と中国人富裕層らしい。

 

日本政府が観光立国を目指して、力を入れていくのを見込んで 先行投資?のつもりなのか?

なんだか、京都の景観が大きく変わってしまいそうで、良いことなのか?? 疑問ですが。

 

少し、話がそれましたが、本題にもどりましょう。

不動産は市況の転換時にあわてて購入をしてはいけない! そうな。

 

不動産価格が上昇から下落へと転換し始めた時(価格下落局面 2~3割安)に、多くの人は

間違いを犯してしまうらしい。 これからが価格下落の本番になるのにその前段階で買い急いでキズをおってしまう。

 

というわけで この章は 「はずみ」の購入は後悔の呼び水 と まとめています。

耳の痛ーい話ですが、不動産の世界では、慌てて買ったり 自分自身に急かされて買ったりした失敗例が多いそうな。。。。

人間ははやる心をなかなか抑えられないらしい。  不動産業者の煽り作戦に乗らないように!

ここは冷静に判断したいものです。

第2章 投資家を待ち構える罠

 

この章では教訓をたくさん頂戴しました。

そのまま抜粋してみます。

 

「どんな時も投資は自己責任」

賃貸マンションを経営するには、「地域の需給状況がどうなっているのか?」

「周辺の賃貸マンションとの競争力はあるのか?」

「設定した家賃は適切か?」などを考慮しなければなりませんし、今後の需給状況の見通しについても、地元事情に精通した不動産業者からヒアリングをしておくことが重要です。

 

まさにおっしゃるとおり! です。

己を知って、競合との差別化を図り、先手を打つ!。

自分の保有する不動産の立ち位置をきちんと掌握しておかないと、レッドオーシャンの真っただ中に

放り込まれることになります。 周辺の賃貸住宅との競争に負けると、

当初計画の収支見通しが狂ってくる。さらにはリスクへの準備対応を考えておかないといけなくなりますよね。 本末転倒なんて結果にならないように、不動産投資は事業と考え経営をするつもりで取り組まないといけない。

 

 

「目の届かないところに投資はしない。」

 

簡単にいうと、収益性を重視するあまりに、遠距離の物件を購入し管理会社にすべてをゆだねるのは

危険!と警告しています。

 

地方都市で15パーセントの利回り物件を見つけ購入。

当然、管理は地元の管理会社に委託、そのうち空室が増えて送金される家賃は目減りしてくる。

一方で修理、設備の更新費用の請求書は送られてきて、現状が十分い把握できないまま、管理会社との連絡も不十分。 金融機関への返済も滞るようになり、購入した金額よりも安く処分するはめに。。。

 

なんて話はよく聞きます。

そう。 共用部分の管理会社しかり、専有部分の委託管理会社しかり、

自身も管理会社さんの担当者と話をしていて思うのは、大手だから安心できるというのはただの幻想。

大手の担当者に限って 問い合わせには 「横柄」「無責任」「無感心」。

財閥系の管理会社だから安心! なんていうのは 間違った認識ですよ!!!

 

自分で確認できなければ、管理会社がちゃんと仕事をしてくれているのか? 

クレームも要望も出来ませんからね~。

結構な金額の委託管理費を徴収されているのですから、ここは ビジネスライクに対応したほうが、結果は良いと思います。

ちなみに、私の場合は 不愉快な顔をされようが、嫌味を言われようが、自分が納得するまで

つまり、要望を受けてくれるまで しつこくお願いしています。

 

というのも、所有物件の管理人さんに聞いてください~♪ とういう回答があまりにも多く、

肝心の管理人さんにあれこれ尋ねても、自分の仕事の範疇以外はわからない事が多いのです。

 

たとえば、管理人室に賃借人が決まったので、管理組合に提出する書類を確認したい!と思って、

書類のフォームをリクエストしても、記入フォームをストックしていないこともありますし、

仕方がないので、管理会社の担当者に送付の依頼をしても、たらいまわし。。。なんてことはざら。

以前、管理組合の使用細則をリクエストしたところ、

「ご自身ではお持ちではないのですか?」と回答される始末。

“手元にないから きいてるんじゃない!“ と言いたくなるのをぐっとこらえて

我慢、我慢。 という経験がありました。

 

 

さらに 読み進めて引用してみましょう。

 

もう一つ重要なことは、現地の管理会社の信頼性です。 多くの 日本の投資家は、いい加減な管理会社に騙されています。

何よりも、自分の投資した不動産の置かれている状況がリアルタイムで把握できないことが問題です。

 

やっぱり 予想通り。

 

信頼でき、綿滅なコミュニケーションが常時とれるような管理会社が存在しなければ成功は難しいのです。 管理会社とは、それほど重要なものなのです。

 

しっかりと心に刻んでおきます。

ちなみに私も一応、大家さんですが 自主管理でなんとか頑張ってます。

委託管理をお任せしたいと思っても、お願いするまでのハードルがとても高い。。。。。

まあ彼らからみると まったくうまみの無い大家だからかな? 喜んでいいのか?

悲しんでいいのか? でも結果オーライですね。

 

というわけで この章のまとめ! 著者のコメントをそのまま引用させていただきます。

 

・購入価格そのものが高かった。絶対値が高い場合(100億円、200億円)は希望者はすくない。

・場所が悪かった。環境が悪い。

・不動産のメンテナンスが悪い。

 

投資家として強く認識しておくべきなのは、「買うときに、売るときのことを考えておく」

と同時に「どんな人が買ってくれるだろうか」と想像しておくことです。

残念ながら、こうした失敗は今も繰り返されています。

これから投資を行う場合にはもう一度、本章で説明をした項目に目を通してください。

 

素直に 「はい。今一度、冷静になって 考え抜いてから、結論を出そうと思います。」

答えてしまいました。

いろいろな不動産投資についての著作はあるけれど、ひょっとしたら、いざというときの為に

手元に置いておいていても良い本。

 

いかんせん、「いけいけどんどん」的に「煽り」の題名を冠に(今後も参考として取り上げて参りますが)

多くの不動産投資本は書店で見かけますが、肝心の

投資が成功するのか? しないのか? についてはあくまでも 個人の「自己責任」で残念ながら締めくくられて終わってます。

当たり前ですが、勝ち組に残る為には、それなりの「勉強」と「情報収集」が必要になってきます。

勉強して、万全だ!と考え抜いた挙句、投資したものの、リスクとは無縁にはならないのが悩ましい。

 

売りのタイミングなのか? 買いのタイミングなのか?

本書はさらに警告してます。

さらに引用してみます。

 

①不動産事情の動向

>価格や売れ行き、在庫の状況 の収集(もちろん直積的に集める)

②市場動向の方向性

>トレンドを知る。 EX:不動産の価格が上昇傾向にあるのか?下落傾向にあるのか?横ばいなのか?

*重要なトレンドは上昇から下落へ、もしくは逆に下落から上昇へなど転換点のサインを見逃さないこと。

 なるほどねー。

ベーシックな内容で無駄な情報もない。 

新書なので安価というのも嬉しい。

不動産投資・勉強をされている方は手引書としておすすめしたい内容、

もっと評価されてもいいのでは? 

いかんせん、出版社は「日本経済新聞社 日経プレミアムシリーズ」

おまけに新書、帯のコピーも 危機感狙いで いささか陳腐で時代遅れ。

売り方の視点とアプローチを変えればもっと売れそうな本なのに。。。。

残念です。

 

 

失敗に学ぶ不動産の鉄則 (日経プレミアシリーズ)

失敗に学ぶ不動産の鉄則 (日経プレミアシリーズ)

 

 

 

 

 

番外編:気になる記事を見つけた。 LINE NEWS で「現代ビジネス」をお友達登録したら、 ニュースの深層で 「日本の借金1000兆円はウソ?」を読んでみた。

アプリのUp dateを行ったところ、LINEのコンテンツが増えていてビックリ。

LINE NEWS なるカテゴリが出来ていて、さっそく「現代ビジネス」をお友達追加してみた。

LINEのTALK にポータルから記事を探すことなく、配信される情報が読めるので、

特定のメディアから発信される情報が気になる人にとっては便利。

 

偶然だけど、FACEBOOK などメッセンジャーをポータル替わりに利用するのが東南アジアではトレンドになりつつある-という記事 「bylines.news.yahoo / 情報通信総合研究所 副主任研究員 佐藤仁さん 」を見つけて、「ふーん」 と思っていたのだが、これってポータルのように膨大な数の情報からニッチな読みたい情報を探すには便利。

 

「現在ビジネス」を登録したところ、 

12月30日発行 高橋洋一氏の ニュースの深層

 「日本の借金1000兆円はウソ?」の記事を発見。

熟読。 なるほど。 テレビ番組にで放映された

プログラムに追加加筆した感じ。

テレビで言い尽くせなかった情報と高橋氏も

「どーしても伝えたかった」事を 現代ビジネスにで吐露してみたくなったのであろう。

 

知識として頭に入れておくべき 数字を引用してみたい。

 

その2013年度末の国のバランスシートを見ると、資産は総計653兆円。そのうち、現預金19兆円、有価証券129兆円、貸付金138兆円、出資66兆円、計352兆円が比較的換金可能な金融資産である。そのほかに、有形固定資産178兆円、運用寄託金105兆円、その他18兆円。

負債は1143兆円。その内訳は、公債856兆円、政府短期証券102兆円、借入金28兆円、これらがいわゆる国の借金で計976兆円。運用寄託金の見合い負債である公的年金預り金112兆円、その他45兆円。ネット国債(負債の総額から資産を引いた額。つまり、1143兆円-653兆円)は490兆円を占める。

先進国と比較して、日本政府のバランスシートの特徴を言えば、政府資産が巨額なことだ。政府資産額としては世界一である。政府資産の中身についても、比較的換金可能な金融資産の割合がきわめて大きいのが特徴的だ。

なお、貸付金や出資金の明細は、国の財務書類に詳しく記されているが、そこが各省の天下り先になっている。実は、財務省所管の貸付先は他省庁に比べて突出して多い。このため、財務省は各省庁の所管法人にも天下れるので、天下りの範囲は他省庁より広い。要するに、「カネを付けるから天下りもよろしく」ということだ。

 

 

ここまで読んだだけで、あんぐり。

されに続けて読んでみる。

引き続き、引用してみます。

 

第二の問題点は、政府内の子会社を連結していないことだ。筆者がバランスシートを作成した当時から、単体ベースと連結ベースのものを作っていた。現在も、2013年度版連結財務書類として公表されている(http://www.mof.go.jp/budget/report/public_finance_fact_sheet/fy2013/national/hy2013_renketsu.pdf)。

それを見ると、ネット国債は451兆円となっている。単体ベースの490兆円よりは少なくなっている。

ただし、この連結ベースには大きな欠陥がある。日銀が含まれていないのだ。日銀への出資比率は5割を超え、様々な監督権限もあるので、まぎれもなく、日銀は政府の子会社である。

経済学でも、日銀と政府は「広い意味の政府」とまとめて一体のものとして分析している。これを統合政府というが、会計的な観点から言えば、日銀を連結対象としない理由はない。筆者は、日銀を連結対象から除いた理由は知らないが、連結対象として含めた場合のバランスシート作ることはできる。

2013年度末の日銀のバランスシートを見ると、資産は総計241兆円、そのうち国債が198兆円である。負債も241兆円で、そのうち発行銀行券87兆円、当座預金129兆円である。

そこで、日銀も含めた連結ベースでは、ネット国債は253兆円である(2014.3.31末)。

直近ではどうなるだろうか。直近の日銀の営業毎旬報告(https://www.boj.or.jp/statistics/boj/other/acmai/release/2015/ac151220.htm/)を見ると、資産として国債328兆円、負債として日銀券96兆円、当座預金248兆円となっている。

直近の政府のバランスシートがわからないので、正確にはいえないが、あえて概数でいえば、日銀も含めた連結ベースのネット国債は150~200兆円程度であろう。そのまま行くと、近い将来には、ネット国債はゼロに近くなるだろう。それに加えて、市中の国債は少なく、資産の裏付けのあるものばかりになるので、ある意味で財政再建が完了したともいえるのだ。

ここで、「日銀券や当座預金も債務だ」という反論が出てくる。これはもちろん債務であるが、国債と比べてほぼ無利子である。しかも償還期限もない。この点は国債と違って、広い意味の政府の負担を考える際に重要である。

 

おいおい。 穏やかじゃないぞ。

2016年には 財政再建完了???

いったいどーなっているのやら。

ほんでもって、その本意とは?

このようにバランスシートで見ると、日銀の量的緩和の意味がはっきりする。

政府と日銀の連結バランスシートを見ると、資産側は変化なし、負債側は国債減、日銀券(当座預金を含む)増となる。つまり、量的緩和は、政府と日銀を統合政府で見たとき、負債構成の変化であり、有利子の国債から無利子の日銀券への転換ということだ。

このため、毎年転換分の利子相当の差益が発生する(これをシニョレッジ〔通貨発行益〕という。毎年の差益を現在価値で合算すると量的緩和額になる)。

また、政府からの日銀への利払いはただちに納付金となるので、政府にとって日銀保有分の国債は債務でないのも同然になる。これで、連結ベースの国債額は減少するわけだ。

量的緩和が、政府と日銀の連結バランスシートにおける負債構成の変化で、シニョレッジを稼げるメリットがある。と同時にデメリットもある。それはシニョレッジを大きくすればするほど、インフレになるということだ。だから、デフレの時にはシニョレッジを増やせるが、インフレの時には限界がある。

その限界を決めるのがインフレ目標である。インフレ目標の範囲内であればデメリットはないが、超えるとデメリットになる。

幸いなことに、今のところ、デメリットはなく、実質的な国債が減少している状態だ。

こう考えてみると、財務省が借金1000兆円と言い、「だから消費増税が必要」と国民に迫るのは、前提が間違っているので暴力的な脅しでしかない。実質的に借金は150~200兆円程度、GDP比で30~40%程度だろう。

ちなみに、アメリカ、イギリスで、中央銀行と連結したネット国債GDP比でみよう。アメリカで80%、65%、イギリスは80%、60%程度である。これを見ると、日本の財政問題が大変ですぐにでも破綻するという意見の滑稽さがわかるだろう。

以上は、バランスシートというストックから見た財政状況であるが、フローから見ても、日本の財政状況はそれほど心配することはないというデータもある。

本コラムの読者であれば、筆者が名目経済成長でプライマリー収支を改善でき、名目経済成長を高めるのはそれほど難しくない、財政再建には増税ではなく経済成長が必要と書いてきたことを覚えているだろう。

その実践として、小泉・第一安倍政権で、増税はしなかったが、プライマリー収支がほぼゼロとなって財政再建できた。これは、増税を主張する財務省にとって触れられたくない事実である。実際、マスコミは財務省の言いなりなので、この事実を指摘する人はまずいない。

さらに、来2016年度の国債発行計画を見ると、新規に市中に出回る国債はほぼなくなることがわかる。これは、財政再建ができた状況とほぼ同じ状況だ。こうした状態で、少しでも国債が市中に出たらどうなるのか。金融機関も一定量の国債投資が必要なので、出回った国債は瞬間蒸発する。つまり、とても国債暴落という状況にならないということだ。

なーんだ!。 国債暴落はただの脅し?だったのか?

嘘かホントか 財務省に問い合わせしてみたいのが、私の本音。

 

今年は取り上げる本のテーマが「謀略本」に偏りそう。 

 

gendai.ismedia.jp

 

 

 

「絶筆」で人間を読む-画家は最後に何を描いたか-中野 京子:シリーズ三部作の最後は「絶筆」 期待は裏切られることなく、あっという間に完読。

なかなか本をゆっくり本を読む時間が無く。。。というのは自分に対する言い訳。

就寝前の数分が読書タイムになってしまったこの頃。

そんな貧しい読書生活の中で、あっという間に完読してしまった一冊を記録しておきます。

 

きっかけと本書との出会い。

先日TVのプログラムで第二次世界大戦直後に世界美術会を震撼させた、「メーヘレン事件」が取り上げられて フェルメールの幻の傑作「エマオの晩餐」が実は贋作だったという事実を知り、

久しぶりに空想の世界に入りたくなり、中野京子氏の 「絶筆」で人間を読むことにしました。

 

本書は

① 怖い絵で人間を読む

② 印象派で近代を読む

に続いて 第三作目となる書。

 

前作の2冊に劣ることなく、一気に読み込みさせる 中野氏の視点を考察には脱帽しているだけに、期待できそう。

 

本書は

第一部 画家と神 -宗教・神話を描く

第二部 画家と王 -宮廷を描く

第三部 画家と民 -市民生活を描く

の三部構成。 一部を二部は比較的 別の本でも取り上げられている画家が多い中で、

第三部の画家と民 の章は新鮮に感じた。

 

特に17世紀に活躍した 諷刺画家 ウィリアム・ホーガス を取り上げたのはちょっと意外。

当時のイギリスはヨーロッパの文化後進国

音楽と美術は外国からの輸入芸術家に牽引され、大陸からの冷ややかな視線に耐えてきた。

長らく音楽と絵画の不毛地帯に甘んじ、綺羅星のごとく現れたのが

ホルバイン= イギリス絵画の父 なのである。!

 

ここまでの説明で、カウンターパンチを頂いた。

 

ウィリアム・ホーガスってどんな人。

 

本書から引用してみよう。

 

*苦労人*

ホーガスは1697年 ロンドンで生まれた。

父親はラテン語の教師だったが、子供が9人!もいたので -当時としては珍しいことではないが、

そのうち6人は十歳を待たずして死んでいる。-生活は苦しかった。

教科書を出版してもさして売れず、珈琲店をはじめとした様々な事業に手をだし、ホーガスが十一歳の時についに破産してしまう。

 

この数行を読んだだけでも、貧困の中で、糊口を舐めるような暮らしを強いられていたようである。

お父さんが経営のセンスもないのに、家族を顧みず夢を見続けた結果ということらしい。

 

ここまでは、よくあるお話。

 

その先が興味深い。

 

当時は「借金」を返済できず債務不履行に陥った者は「債務監獄」へ入れられた。

そうした監獄がロンドンだけで十以上もあり、中には本人だけでなく、家族もろとも入獄してそこで暮らすのを許された例もあった。

ホーガスの家族がどうだったかはわかっていない。

 

事実確認は出来ていないが、ホーガスの取り上げる絵の題材に

父親の生き方や風刺画家として選択する絵の題材はこの頃の体験が大いに影響しているものと思われる。

 

中野氏もはっきり書いているが、

 

彼は(ホルバイン)父親のこの不面目については生涯口を閉ざした。その代り作品中に、山っ気をだしてあれこれ手を出した末に自滅する男の姿を描いている。

 

少年 ホルバインの原体験は今後の作品に大きな影響を与え、題材の視点も培われた。

 

その後の徒弟時代は食器に紋章や装飾を浮き彫りにする単純作業に明け暮れ、(本人は多いに不満だったらしい)が、ここで得た技術や技法が 若干二十二歳で版画家として独立するのに大いに役に立っている。

この頃から 諷刺への傾倒ははっきりしており、独立の翌年の作品で南海泡沫事件を扱っている。

 

<南海泡沫事件>

いわゆるバブル崩壊・南海会社の株券が高騰後、いっきに大暴落した事件

今とあまり変わらない世の中だったんですね。

当然ですが、無一文となった人の中で自殺する者も出たのに、一部の政治家が会社と結託して逃げ切ったことで社会問題化した事件。

 

ホーガスはこの問題で 欲まみれの人々が右往左往する姿を嘲笑するように描いています。

 

そこで、生涯の描きたい題材とめぐりあったのであろうか?

 

30歳ごろから本格的に油彩画を学び、よき師を探して、サー・ソーンヒルと巡り合う。

ソーンヒルなる人もかなりユニークだ。

この時代にイギリス人画家として 初めてナイトの称号を受け、歴史画家として活躍した人物。

 

いわゆる 「成功者」だった。

 

ホーガスも抜け目がない。

 

ソーンヒルはボーガスの才能は認めたが、彼が自分の娘と恋仲になるのは許せず、

二人の仲を認めなかった。 というわけで、二人は駆け落ち⇒結婚。

 

この結婚が福を運んできたのか?

 

その後のホーガスは仕事は絶好調、作品は評判となり人気を得、生活も良くなる。

生活の安定は 仕事の結果につながっていく。

 

*自ら物語を紡ぐ*

ホーガスは当時流行していた「カンバセ―ション・ピース」

いわゆる家族の親密な集まりを描いた群像画を手掛けた。またこの分野ではかなりの成功を収めている。

 

ところが、それだけでは飽き足らず、もともと好きだった演劇を主題にし、さらにその先へ進む。

(この指摘はとても的確。)

ホーガス芸術にとってターニングポイントになったのは、売春婦を描いた物語画。

当時の民衆は文盲が当たり前の時代だったので、宗教の教えや王様の行状などは一連の絵画作品を鑑賞することで学びの場とすることが多かった。

しかしながら、他の作者とどこが違うのか?というと、

ゼロから登場人物、ストーリ、状況設定を考案し絵画を通して鑑賞者に伝える。

(演劇好きが表現にいかされることになる。)

当時、こんなことを考え付いたのは、ホーガスただ一人だったらしい。

 

この頃になって、債務者監獄に入れられた貧困の生活経験が発揮されることになる。

最初のシリーズは6枚連作「ある娼婦の傷害」(1773年)。

本書にも見開きで 第1図:娼婦にスカウト → 第2図:金持ちに囲われ → 第3図:街娼へ転落 

第4図:刑務所に入れられ →第5図:貧しさの中で死に → 第6図:葬儀で誰からも悲しんでもらえない。

とまあ。。。。。 さすがイギリス人! シニカルに悲惨な状況を面白おかしく描いていており、純粋に楽しめる。

ここで、勢いづいたホーガスは更なる上をめざし、古典 いわゆる宗教画に挑戦するも、酷評されさんざんな目にあうことになる。

普通なら、ここで「挫折」そして「荒れる」生活に陥ることになるのがセオリーだが、

ホーガスは逆にこの失敗を糧に向上心を挫くことなく、元の路線にあっさりリターン。

その後も ホーガスの得意とする持ち味を続々と発表しさらに人気を得ることとなる。

 

このあたりのポジティブ思考、メンタリティに好感が持てる。

 

その後は得意とすることにレバッジを掛けて、多いに作品を生み出すことになり、本書で紹介されている作品の題名からして、面白く鑑賞できそうな「絵で読む小説」が続く。

 

本書に紹介されているのは、

飲む打つ買うのあげく精神病院に入れられる「放蕩息子」

貧乏貴族と金持ち商人の娘が政略結婚して無残な結末を迎える「当世結婚事情」

二大政党のどっちもどっちの醜い選挙戦を活写した「選挙」など

どれも鋭い視線と視点で時世に切り込みを入れて、ウィットに及んだ毒と皮肉を込めたセンスある仕上がりに表現者としての力量と勇気に感服する。

民衆がホーガンの作品を鑑賞して厳しいご時世を笑い飛ばす姿が目に浮かぶようである。

 

ホーガンの作品は好評を得て、多いに売れた。

その反面、自作の盗用や複製版に悩むことになる。 いつの世にもコピーは存在する。

しかしながら、泣き寝入りするようなホーガンではない。

創作を生業とする自分を含めた版画家の為に正当な権利を守る法律を議会に通すべく尽力する。

のちに「ホーガン法」と呼ばれる版画著作権法が制定される。

ホーガンが38歳の時の事である。

この制定により、イギリスの版画家は 製作後14年間の著作独占権を得ることになった。

 

後世となっては バイタリティ溢れるユニークな芸術家のホーガンだが、

口さがない批評家からは、貧しい生い立ちや世俗的は版画の題材から厳しい評価も頂いている。

 

中野京子氏はこの評価にいささか異論があるようで、(ホーガンの作品に対する世論の評価が低すぎる!)

ご自身の見解もきちんと書かれている。

 

引用してみたい。 拍手喝采!

 

画中で意地悪く扱ったのは、何も上流階級ばかりではない。たとえ貧民であれ、幼い子供であれ、美女であれ、、同国人であれ外国人であれ、金貸し業であれ主婦であれ、およそ彼の攻撃から逃れえた者など唯の一人もいない。これほどまでに全方位的な辛辣さは、逆にそれだけ深く対象に関心を持っている証であり、どこまでも人間好きだったからこそと言えよう。

彼の作品は、転落や破滅の暗澹たるストーリにも関わらず、どこかしら救いの気分が漂っているのだが、批判されるのを嫌う人間にはそれは感じられなかったらしい。

 

とまあ、アカデミーの評価がいまいちなので、

長いことホーガンの油彩は偏見にさらされ、「イギリス絵画の父」と呼はれる日まで、美術的価値を全く認められず、安値で売買されていたようである。

 

それでも、ホーガンは逞しかった。

 

アカデミーからの酷評と差別にいよいよ意気消沈するのかと思いきや、

愚痴も恨みもこぼさず、自分なりの楽しみを見出して 妻と睦まじく、好物のビフテキを食べながら

(食べるのみならず、愛好会も作っていた。) 友人たちと楽しい人生を送った。

 

めでたし。 めでたし。

 

という人生を生きた 稀有な芸術家なのである。

 

読んだ後の清涼感とこの時代に商業的成功をおさめたイギリス絵画の父/ウィリアム・ホーガン。

中野京子氏の紹介がなければ、イギリス人画家に興味を抱く事も知ることもなかった。

凝り固まった知識をほぐす機会を与えられ、ホーガンとの出会いを頂いたことに感謝の言葉を送ります。

 

 

 

 

 

不動産関連本:マンションチラシ解読術-武内 修二:新築マンション購入をご検討されている方はご一読をお勧めします。

マンションチラシ解読術   題名のまんまの本です。

良書です。書籍の題名もコピー、内容もわかりやすい。 

不動産購入を検討しているものの、膨大な資料の中でアップアップしている人は

たくさんいらっしゃると思います。

その中で何を指針にして、ポイントにして膨大な資料を読み解いていったらよいのか?

大丈夫です。本書は著者の武内氏が

4年間で2000枚とう膨大なチラシを読破したデータと調査した結果を素人目線で優しく解説してくれてます。

 

 

本書の構成は以下の通り、

 

第一部 チラシ読みの達人になる為に

第一章:マンション・チラシの基本ルールを知ろう。

第二章:マンションにもいろんなタイプがある。

第三章:周辺環境を読み解く

第四章:間取り図を読み解く

第五章:マンションのグレードはピンキリ

第六章:付帯施設を読み解く

第七章:手続きで悩まない為に

第八章:販促技を知ろう。

 

第二部 私の週末チラシ日記

 

主に第一部にチラシを読み解くヒントは凝縮されているのであるが、

私が多いに役立ったのは、

第四章: 間取り図を読み解く

本来、間取り図には建築に明るくない人でも理解しやすいように作成するのが本筋ではあるが、業界の自主ルールに違反することがなければ、ぎりぎりモードで販促テクニックを駆使している。 

 

ポイントを本書より 抜粋

 

主な4つの「販促ワザ」を紹介しよう。

(1)南向き向き以外のリビングでも下側に書く。

(2)見栄えのする角住戸ばかりを掲載する。

(3)ローマ字表記で高級感を醸し出そうとする。

(4)間取図から寸法を測らせない。

 

とまあ、これだけでもかなり売主側の悪意を感じるのだが、

心配ご無用。本書はちゃんとこんな問題に対抗すべく対応策を伝授してくれている。

 

間取りの問題の場合の対策として

 

住棟配置:複数の間取り図を張り合わせて、住戸の位置関係を調べよう。

これは、各住戸をジグソーパズルのように張り合わせる事でマンション棟全体のおける住戸の位置を手繰り寄せることができる。→ 設備やエレベーターシャフトなどの物件の弱点が発見できる可能性が高くなる。!

 

フリープランは騒音トラブルのもと。

間取りにバリエーションを持たせて一定の期間に契約をすれば、好みのプランを選べるというフリープラン。

買主目線で考えると、間取りの選択肢が増えるので、お得に思えるが、

最大の問題点は 間取り変更に伴い 水回り(トイレ、台所、洗濯機など)が生活騒音トラブルの元になる恐れがある。

 

洋室にカーペット使用が多いのは、なぜ?

ズバリ コスト!の問題。 階下への遮音性能の確保に効果的でおまけに安価。

ただし、ダニやカビの巣窟になるので、ハウスダストのアレルギーがある人はNGですが。。。

 

角部屋よりも中住戸

マンション棟の妻側にある「角住戸」は3面が外部に面しているから外壁や窓からの熱ロスが大きく、室内の温度調節が難しい。が、

「中住戸」は左右の住戸が断熱空間となってくれるので、省エネタイプの住戸と言える。

マンションは戸建て比べると外部に露出する面積が少ないので、防犯性能や省エネ性能が高い事。中住戸はさらに省エネ住戸ということで、もっと利点をアピールしても良いのでは? いかんせん 日本人は南向きと角住戸にこだわる人が多いので。。。

 

サービスルームの正体

サービスルームとは? なんぞや?

本書の説明によると、建築基準法上の有効採光が確保できない部屋をカモフラージュするための呼称。

有効採光面積が確保できない部屋は居室とは認められず、(建築確認申請が受理されない)ということで、デベロッパーは申請を完遂するために「納戸」として申請するのであーる。

申請が受理されれば、「納戸」ではイメージが悪いので、イメージアップの為に

「サービスルーム」と言葉を粉飾するそうな。

 

著者の武内氏は警告する。

マンションチラシに馴染みのない外来語を見つけたら要注意。!

 

ここまで、読んでどれだけ救われる人がいるだろうか?と考えてしまう。

とかく、その場のムードと勢いで人生の大きな買い物を決めてしまうことがいかに軽率なことか認識させられる。

 

武内氏は果敢にも疑問に思う事は売主先であるディベロッパーへ電話にて問い合わせをしている。その押し問答のやりとりも読みごたえがあり、不動産を購入を検討している人にとって多いに励みになる。

 

次回は是非! 中古マンションの解読術を指南していただきたいものです。

 

 

マンション・チラシ解読術―“販促ワザ”を見抜く法 (中公新書ラクレ)

マンション・チラシ解読術―“販促ワザ”を見抜く法 (中公新書ラクレ)

 

 

731-青木富貴子:戦後70年の節目。日本人であるならば、知っておくべき戦時中の記録として読んでみた。

本書をチョイスした理由はいたってシンプル。

①先の大東亜戦争に関わる書籍 で

②時系列が整理されて、情報のリソースがきちんと記録されている。

③くわえて、自宅の書棚を飾っていた?積読本のうちの一冊だった。

 

本年は戦後70年の節目。

韓国・中国が執拗に主張する先の戦争に関する歴史認識の温度差の隔たりを埋めるべく、戦争時に起こった事象や記録に目を通す事が必要と感じている。

とはいえ、個人で調査するのは大変困難なことなので、信頼のおける著者の著作をざっとスキャンして 「丁寧に」調査されている本書をチョイスした次第。

 

 

本書は10年前に上梓された本であるが、著者の青木氏が調査をスタートするタイミングを逃していたら、本書に登場する731部隊関係者はほぼ鬼籍に入って、謎は深まるばかりであったろうと思う。

始まりは、2003年5月。

関東軍731部隊の隊長 石井四郎直筆の終戦から終戦直後にかけて大学ノート二冊に残したメモが偶然発見された事。

保管していたのは、石井家のお手伝いさんだった 渡邊あきさん(当時、齢90歳)。

ご子息の周一氏から著者 青木富貴子氏は二冊のノートを受け取ったところから、本書の旅が始まった。

アメリカと日本を往復しながら、関係者の記憶を紐解きながら、地道に一冊の本にまとめた青木氏の尽力と根気には頭が下がる思いで読み進めました。

 

陸軍軍医学校の歴史に「マッド・サイエンティスト」として名前を残した、

石井四郎は3年間の浪人生活を経て京都帝国大学医学部へ入学。卒業後は陸軍軍医学校へ入学し見習士官として4カ月の軍事訓練を経て、1921年(対象0年)4月に二等軍医(中尉相当)になった。その当時ですでに石井四郎は28歳。

陸軍軍医学校を卒業後、近衛歩兵第三連帯に配属になったあと、東京第一衛戍病院に勤務、続いて陸軍から京都帝国大学医学部大学院へ送られた。

陸軍が石井を大学院へ送った目的は

「殺菌学、血清学、予防医学、それに病理の為の研究」とある。

石井四郎は内地留学先の京都大学1924年(大正13年)夏に突然発生した嗜眠性脳炎という奇妙なねむり病の研究プロジェクトを細菌班とウィルス班に分け、動物実験に成功。

原因がウィルスだと判定し学会にて発表をした。 そしてこの病の原因はウィルスであると承認される。

やがて研究成果が認められて 京都帝国大学医学部から医学博士の学位を授与。

ここでのプロジェクトがのちに細菌戦施設を作り上げる為に陸軍省参謀本部を動かしていく才能が開花していく。

 

こうなると、出世街道まっしぐらである。

京大総長 荒木寅三郎の令嬢 清子と結婚し、京大総長の後ろ盾を得て、2年にも渡る欧州旅行に旅立つ。

 

欧州旅行前より、石井は細菌戦について参謀本部や作戦課長クラスへ細菌戦の有効性と準備が必要かを訴えて回る。

1925年(大正14年)6月17日 化学兵器と細菌兵器の使用を禁止した「ジュネーブ議定書」の締結という後押しもあり、

石井は条約で禁止するほど細菌兵器が脅威であり、有効であると確信。 これを開発し己の夢・大きな事を成し遂げたいという欲望に傾斜していく。

 

 

1930年(昭和5年)欧州~米国旅行より帰国した石井四郎は 三等軍医正(軍医少佐に相当)に昇進し、陸軍軍医学校教官へ任命された。

そうなると石井四郎は 欧米で集めた資料と情報に脚色をつけて、突飛な行動(奇行)と弁が立つゆえの宣伝上手で、陸軍省参謀本部の幹部に細菌戦研究の必要性を説いて回る。

 

後押しとなったのは 満州事変の勃発。

 

戦地で伝染病に斃れる兵士の数は戦死者よりもずっと多い。その数は戦死者の10倍

 

本書から抜粋してみよう。

 

当時はコレラの予防法も治療も無かったので、下痢が続いて水を飲んでも吐くようになると、軍医の診察を受けて入院する。

入院と決まれば、死の宣告と同様、戦友に礼をいい、遺言を述べて担架で運ばれる。

病室には消石灰を厚く敷いた蓆があって、そこに横たわり死を待つだけとなる。

 

とある。伝染病に罹患するということ。 すなわち ‘’死’’ を意味した。時代だった。

 

(私は無知だと痛感。驚愕の事実。戦う前に病魔に襲われて命を落とすことになるとは、なんとも皮肉なものです。)

 

石井四郎も用意周到に注意深く静かに着々と行動する。

平房に本拠を構える前に 「東郷 一」という偽名を使い、「東郷部隊」とう防諜名で秘密部隊を編制。 全員が偽名を使うほど秘密裏に行動した部隊であった。

 

人体実験が可能な一大医学研究所の創設を目的とした石井四郎は、陸軍省を口説き落とすためにまずはそのアイディア・企画力を防疫給水の開発で発揮。

ここでも、はったりと押しの強さで濾水機の実用性をうたい「石井式濾水機」プロジェクトを成功させる。

軍内部での信頼と実績を作り、かねてからの細菌兵器開発の為に参謀部を説得に回り

軍の後ろ盾ができれば、研究費は潤沢・自由な実験研究が可能になり、やがてその労力を満州「平房」の地へ大量殺人兵器を開発を最終目的とする人体実験場を作り上げることにそそぐこととなる。

 

当時の様子を知る為に 青木氏は縦横無尽に関係者を訪ねて歩く。

 

まずは篠塚良雄

中国人被害者家族が日本政府を相手に東京地裁で起こした細菌戦裁判訴訟で、証言台に立ち供述した人物である。

 

終戦時には中国におり、中国人民解放軍に逮捕され、撫順戦犯管理所に収容されたものの、下級部員ということで、不起訴となり 1956年(昭和31年)に帰国した人物。

 

戦後、無事に早々と帰国した医学者たちは 大学の医学部や製薬会社、国立予防衛生研究所(現:国立感染症研究所)などの要職についた。

その代表として、石井四郎と同じく陸軍軍医学校で学んだ 内藤良一(「日本ブラッドバンク」 後の「ミドリ十字」創設者)がいる。

(「ミドリ十字」には内藤良一の誘いで多くの元軍医や隊員が職を得た。)

 

本題に戻ろう。

 

篠塚良雄は1939年4月1日 少年隊として陸軍軍医学校の奥にあった「防疫研究室」へいざなわれ、石井部隊の少年隊員となる。

そののち、一カ月後、篠塚良雄ら 少年隊は下関から釜山へ連絡船でわたり、釜山から汽車で朝鮮半島を北上、ハルピンへ 1939年5月12日に到着する。

問題の場所の様子は かなり生々しい。

大平原のなかに忽然と現れた真新しい建物群。 鉄条網で囲まれた広大な敷地に一大施設が現れる。

コンクリート造りの堅固な建物の入り口には関東軍司令官の立札があり、本部建物を進んでいくと奥には 数棟の建物が続く。 守衛所から入って右側の先に3本の大きな煙突がそそり立ち、その奥には資材部、右には動物舎、中央にはもっと堅固な3階建の白亜の建物がそびえたち、これら建物の全体を囲む堀の上に2メートルほどの高さの土塀が立ち、さらにその上に高圧電流が流れている鉄条網がはりめぐらされていた。

かなり、警備は厳重で 石井四郎の研究室は 特別軍事地域に指定されていたようである。

 

そして、篠塚良雄は到着してほどなく、「マルタ」 つまり、部隊が捕虜と呼んでいた言葉を耳にし、秘密を知ることになる。

 

ここまで読み進んでくると、軍によりかの地へ連れてこられた 少年隊の運命・命はいかに軽んじられていたのか、理解できる。

 

本書から抜粋してみる。

 

8月、9月頃、篠塚良雄の同郷の萩原三雄はチフスではなく肺結核に侵されて入院。その後、故郷に帰され、終戦時には自宅療養をしていたが、1946年(昭和21年)に20代前半という若さでこの世を去った。 彼もまた石井部隊の犠牲者だった。

萩原は供述書にこう記している。ハルピンには南崗というところに陸軍病院があった。当時 南崗の陸軍病院に収容された患者の相当数が石井部隊の勤務者であったと萩原は聞いている。

 

本書の記載では少年隊の死亡の原因は、腸チフス、ペストなどの伝染病。

何故 少年たちが 伝染病に罹患してしまったのか?

細菌の恐ろしさを知らなかったからである。

部隊の様子が赤裸々に書かれている。

軍隊でも少年隊の隊員が伝染病に感染しないように罹患を防ぐ為、チフス、パラチフス、コレラ、ペストなどの予防注射を実施しているものの、事前にリスク説明も無く、どんな注射を投与されているのか? わからないまま、過ごしていたようだ。

 

リスク説明もなく、感染の危険にさらされながら、細菌の扱いを行ったらどうなるのだろう。常に予防接種を受けていたとしても、当然 感染する。

篠崎のコメントは続く。 

「第一回前期後記あわせて60名近くの少年隊隊員がいたのが、生きて帰れたのは半分もいなかった。 感染したり、あるいは南方へ送られて戦死したり。。。 いつも命と引き換えでした。」

 

重い。 あまりにも 身勝手な石井四郎に医者としての良心はないのか! と

説いてみたくなる。だが、細菌兵器の開発という、身勝手な思惑の目的を前にしては

わずかな犠牲と思っていたのであろうか?

 

青木氏はどんどん 篠塚に核心に触れた質問を畳み掛けていく。

 

「仲間の解剖に立ち会ったことがあるか?」

 

読み進めるのがつらくなってくる。だが、これも歴史の1ページなのか。

 

篠塚の回答は

 

「一回だけあります。 これは天皇陛下の為、国の為だ。 解剖されること自身もね。

細菌学の分野では必ず生体解剖じゃないと効果がないんです。

なぜかというと、人間、息を引き取って死亡すると雑菌が入っちゃうんです。だから瀕死の重傷で、まだ雑菌が入らないうちに解剖して、必要なものを取り出すというんです。」

 

何を取り出すというのか?

篠崎は よくわからなかったようであるが、引き続き説明している。

「当時、動物体を通せば毒力は強まる。 という説があった。だから、生体実験、生体解剖をやることの一つの目的は 次に必要な細菌の大量生産の為に、菌株(スタム)を手に入れることではなかったのか?と」 。。。 回答している。

 

青木氏は医学的にみて、動物体を通せば独力が強まるかどうか? 微生物学の名誉教授に意見を仰いでいるが、

「一般的医学常識としては、動物通過により病原体の毒力は強まるといわれています。しかし エビデンス(医学的証拠)というと、なかなか答えにくい問題です。」

 

・・・・・・・。言葉を失った。 戦時下の緊迫した状況が医師を狂気へと誘うのか。

 

そろそろ記録するのが苦しくなってきた。

石井四郎のその後をまとめてみよう。

戦後、巣鴨刑務所に繋がれ裁かれるはずだった石井四郎は土壇場で彼らの研究(細菌兵器という禁断の兵器)のデータを米国へ手渡し、自宅で旅館(米軍と日本人女性相手)を営むことで生き延びた。

GHQの対的諜報部隊の「シロウ イシイ」のファイルの中に1950年2月当時の石井四郎の生活ぶりを伝える記事があった。

良心の呵責なのか、贖罪を求めるのか。

記録によると、禅に深く入れ込み、僧侶のような暮らしをしていたらしい。

その死はあっけないもので、1959年(昭和34年)10月9日 咽頭癌の為、国立東京第一病院で亡くなっている。

 

(追記)

731部隊に関連していた医師を追っていくと、その後 思わぬ事件にその存在を発見することがある。

代表格となるのは、

内藤良一

防疫研究室に在籍、石井機関のネットワーク要職にあり、アメリカ軍の調査で通訳を務め、取り調べを受けた。(GHQの調査を行った マレー・サンダースに「誓って人体実験は行わなかった」と報告している。)

戦後、郷里で内藤医院を開業したのち「日本ブラッドバンク」のちの「ミドリ十字」を立ち上げる。 

創業後はかつての仲間であった医師に内藤良一が声をかけ、

731部隊に携わった関係者がミドリ十字に集うことになった。

内藤良一は1982年に亡くなるが、のちの薬害エイズで舞台となったミドリ十字の創業者がこんなところで繋がっていくのは、何かの因縁なのか、偶然なのか。

背筋が寒くなる。

 

 

731

731

 

 

狙われた自治体「ごみ行政の闇に消えた命」-下野新聞「鹿沼取材班」:暴力に立ち向かった犠牲者に黙祷。

狙われた自治体

 

事実として受け止めるにしても重い。 とても重い内容の本だった。

 

官業癒着を断罪する裁判に発展した事件。下野新聞は官と暴力の癒着に着目し、事件を追っていく。

暴力団になぜ?いとも簡単に自治体が屈する事になったのか?

この事件をきっかけに、警察の民事不介入の姿勢を民事介入に舵を取り直すきっかけとなった。

不正を正すため、筋を通した結果が「死」では仕事熱心な人格者であればあるほど、

身に危険を感じるような世の中になってしまったのか?

もっと 行政が、市長が、職員が一丸となって暴力に抵抗していれば、小佐々さんは

帰らぬ人にならずともすんだかもしれない。 とても残念である。

 

たしかに行政も切実だ。 警察を頼ってばかりはいられないが、理屈だけで対応するには限界がある。連携は不可欠。 暴力で向かってくる荒っぽい輩に対応するには暴力しかないのか。事なかれ主義、波風を立てたくないといった風潮がいつの間にか、隙をつくり 悲惨な結末を迎えてしまったように思えてならない。

 

事件の経緯は2001年10月31日の夕方、栃木県鹿沼市の環境対策部参事の男性職員 小佐々 守 さん(当時57歳)は職場からの帰宅途中から行方が分からなくなったことから始まる。翌朝、自宅から200m離れた市道で小佐々さんのものと思われる自転車、鞄、メガネなどの所持品が発見され、何らかの事件に巻き込まれたものとして 栃木県警に捜索願が出される。その後、ひらすら家族は無事を願い 主の帰りを待ち続けたが、

その後、警察の捜査で見知らぬ男たちに拉致され殺害されたことが判明する。

 

そのからくりは以下の通り、

佐野市で委託された一般廃棄物を「鹿沼市」のゴミと偽り、市環境センターに搬入。

処理単価が安い市環境センターに持ち込むことで利ザヤを稼いでいたのである。

もちろん、連日大量にもちこまれるゴミを不審に思う職員もいたが、報告をしても当時にセンター長は黙認していたのである。

当然、産業廃棄物処理会社 社長の要求はエスカレート。 身勝手な振る舞いはすべて黙認するような風潮となる。

 

小佐々さんは環境庁クリーンセンター長として、産業廃棄物処理業者の社長の詐欺的行為を脅しにも屈服せず、その関係を断ち切ろうと尽力していた。

 

事件の幕引きは2003年2月6日、栃木県警は被害者を拉致監禁したとして、暴力団員の実行犯4人を逮捕する。また、犯行を依頼したとして廃棄物処理業者社長の逮捕状を取ったが、自殺しているのが見つかった。2月11日、この産業廃棄物処理業者社長と深く関わっていたと思われる市幹部職員が市役所の非常階段から自殺した。

 

実行犯4人は被害者を拉致した翌日、群馬県の山中で殺害したと自供するものの、県警の捜索でも遺体は発見できなかった。

物的証拠も乏しく、実行犯の供述頼みの裁判だが、実行犯の4人には重い判決が下された。

しかしながら、そのうちの二人は控訴し、起訴事実を一部否認。

公判で発言を求め、一転して殺害を否認したのである。

その後の裁判がどうなったのか? 気になるところであるが、遺体が見つからないことを逆手にとって、犯人たちは反撃を始めたようだ。

 

この事件は小佐々さんの殺害を依頼したと思われる、産業廃棄物会社の社長、実行犯、市役所、そして被害者の小佐々さん 4人の人が亡くなっている。

 

傍若無人な犯人たちはその後どうなったのか? 本書では確かめる事が出来なかった。

残念であるが、気になるところでもある。

しかし、一見すると のどかで平和な犯罪とは無縁のような田舎町で暴力と無縁ではいられないという事実は恐ろしい。

 

狙われた自治体 ゴミ行政の闇に消えた命

狙われた自治体 ゴミ行政の闇に消えた命