平成経済事件の怪物たち
- 作者: 森功
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2013/12/18
- メディア: 新書
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臆病者のための億万長者入門
金融リテラシーの低い人に贈る 橘 玲氏からのメッセージ
を込めた本書。
冒頭のはじめから、
「金融業界の不都合な真実をすべてのひとに」と打ち上げ花火をあげており、あれ? なんだか どっかの環境団体?(アル・ゴア氏?)のプレゼンみたい?だな。。。。
どんなものかと?思い読み進めてみると、
第一章 資産運用を始める前に知っておきたい大切なこと。ここで至極当たり前の事が書かれています。
お金持ちになるための方法ー実は3つしかない。
ここでどんな運用や金融商品を伝授してくれるのかしら。。とわくわくしていると
ガクッとこけます。
①収入を増やす。
②支出を減らす。
③資産を上手に運用する。
とあり、総資産=収入-支出+(資産×運用利回り)
勤労と倹約、リスク管理した堅実な運用をする「賢い投資家」になることだ。で締め。
至極当たり前の事をもっともらしく書いて、肩すかしをされてる感じ。
その次もこれからのお話を進める前に、
「君たち、わかってる? 年金問題は個人で解決できる問題なんだよ?」
とばかりに 市場経済で私達がお金を手にする2つの方法。
①総資本=人的資本+金融資本
人的資本とは 勤労。 金融資本とは下の方程式。
②金融資本=預貯金+不動産+年金+相続財産
②を運用することによって、さらに
1)資産のリスクを最小化
2)資産のリターン(利益)を最大化
3)資産運用に必要なコストを最小化
リスクを取りたくなければ、お金はすべて銀行に預金しておけばいい。最大化したければ、レバッジをかけたハイリスクなFXがいいだろう。
と。。。。ごく当たり前の事を書き連ねた挙句、
老後は誰もが一人の投資家なので、「定年」といった強制解雇を自らの努力と工夫によって、個人的に解決し、長く働いて、老後を短くする方法を考えよう。
人的資本の運用を真剣に考えよう! と。。続く。
まあ。。。。確かにアメリカには 「定年」という制度はありませんけどね。
この調子は次の第二章「金融の常識」にだまされないために。
で続く。
宝くじは割に遭わないギャンブル。 愚か者に課せられた税金 と
続き、宝くじに大金を払っている限り、資産運用に成功することは永遠にない。
と宝くじは国家が親となって、夢見る一般市民をだますための
効率の良い ぼったくり だ! と仕組みを教えてくれる。
うーん。 この宝くじの仕組みについては、橘氏の別の著作から開示いただいた内容のようであるが。。。 理解できていない人が多いと感じているのでしょうか。
何度も説明しているのに、宝くじにお金を使う人が存在することにご立腹のようです。
その怒りは 「不幸のくじ」生命保険の正しい考え方 まで、続きます。
この章は、まさに。。 橘氏のおっしゃるとおり、宝くじより割の悪いギャンブル。
それは、外れることに意味があるギャンブルですから。。。
日本の大手の生命保険会社がこれまで保険の原価を企業秘密として一切公表していないことからも理解できるように、保険会社が損をしないようにスキームが組まれているということなのです。
<余談ですが、原価を公表しているのはライフネット生命一社 のみ>
というわけで、ただしい 生命保険の選び方は
①もっとも経費率の低い生命保険に加入。
②保障は必要最低限
③保障が不要になったら、すぐに解約する。
以上3点を網羅していれば、それでOK!
> 保険はなんだかわからいまま契約をしてしまい、
毎月、20,000円ぐらいのお金を強制的に銀行引き落としで
契約→支払させられてしまっている人が多いと思います。
契約の内容をきちんと見直した方がよさそうです。
貯蓄型の保険だったのに。。。 「定期保険」 となっていると60歳を超えた時点で、期待していた金額の受け取りができなくなる可能性があります。
自分が契約した保険が 「定期」なのか?「終身」なのか?また、どんな保障を受ける事ができるのか?確認してみましょう。
以上のようなおとぎ話が続いた後、
「資産運用の4つの原則」をしっかり頭に叩き込みましょう。
①確実に儲かる話はあなたのところには絶対来ない。
②誰も他人のお金の事を真剣に考えたりしない。
③誰も本当の事を教えてくれない。
④自分の資産は自分で守るしかない。
>>>うまい話はすべて無視!するのが一番。
きっと投資詐欺にだまされている人を見て、苦々しく思っているんでしょうね。
橘氏のストレスを感じ取れます。
第三章 臆病者の為の株式投資法
ここからは、少し論調が柔らかくなり、日本株の暴落をどうやって的中させたか?
やや自慢気味になり。。 カラクリを説明してくれています。
第四章 為替の不思議を理解する
こちらも以前 橘氏の著書で取り上げた内容と重複するような?気がしていますが、
ベトナムドンの高金利定期預金、 カンボジアの年利7.75%の米ドル預金
についてカラクリを説明。2~3年前に騒がれていましたが、
ここでさらにおさらい。 興味のある人は自己責任で挑戦してみては?
と締めくくります。
11.外貨預金に為替リスクはない
こちらは本書をお確かめあれ。 橘氏の見解と論証が展開されます。
12.FXでふつうのおばさんが億万長者になった理由
経済には直感的に正しい理屈がじつは間違っている ということがたくさんある。
これを「ブードゥー経済学」と呼び 為替レートについての誤解の典型です。
投資がギャンブルの一種。 金融市場というのは、そういうところなのだ。と理解することである。
第五章 マイホームという不動産投資
マイホームと賃貸、どちらが得か。
マイホームの購入というのは不動産投資以外の何物でもない。
地価が上昇すれば、得をするし、下落すれば損をする。。。。当たり前の話ですね。
リスク耐性の高い企業やファンドが不動産を保有し、リスク耐性の低い個人はそれを賃借した方が系税的に合理的だ。。。ということになる。
しかし、だれもが経済的合理性を考え始めると、不動産開発会社はすべてのリスクを自ら負わなければならなくなる。それよりもマンションや建売住宅で転売し、
ノーリスクで儲けた方が勝機あり。
というわけで、あの手この手で マイホームの夢 を不動産会社の営業は語るのです。
そして、この章の肝である。。。
マイホームが得な理由な借金にある。
> 賃貸よりも購入した方がお得。 つまり 借金は得ですよ!
という売り文句の説明。
だが、得になるのは 地価が上がる ! とういことが前提にあって成り立つ理論であり、地価が下落したら。。。レバッジをかけた投資はその分だけ損失が大きくなるのである。。。。。
というわけで、借金のリスクをオブラートに包むように隠すことにより、
賃貸は損! マイホームは得!というセオリーが生まれたようです。
不動産購入は 真剣に取り組もう。。。
適正価格を計算し、不動産の収益還元法でちゃんと計算してみよう。
現在は時代に追いついて、不動産業界も世界標準の考え方になり、収益還元法の価格で取されるようになってきたようであるが。。。
東京オリンピック が引き金となり、さらなる 悲劇が生まれそうな気配を感じる。
株式市場と不動産市場を比較してみると。。
不動産市場は金融商品でありながら、まだまだ不透明で閉鎖された取引市場であると
いうことがわかる。
①不動産は相対取引
②不動産取引では売り手の希望価格しかわからない。(時価は不明)
③不動産取引では顧客を差別するのは当たり前。
④不動産取引では最低限の情報しか得られない。
⑤不動産仲介手数料はいまだに割高。
市場が閉鎖的であればあるほど 素人はぼったくられる。
不動産取引は先物取引よりずっと危険なのだ。。。
この先に続く
インサイダーマーケットには手をだすな。
「家賃保証」という空約束。
掘り出し物の物件を買ったのはだれか。
不動産の営業マンは賃貸を選んでいる。
不動産神話と進化論
では 割愛するとして。。。。
マイホームの購入にあたっては、自分が不動産というリスク資産にレバッジをかけて
大きな投資をしているという自覚をするべきである。
それを踏まえた上で、 賃貸かマイホームか? 考えた方がよさそうである。
第六章 アベノミクスと日本の未来
ここからは年金問題。 年金財政を健全化する3つの方法を挙げ、
①年金保険料を増やす
②年金支給額を減らす
③資産の運用利回りを上げる
またまた、至極当たり前の話からスタート。
そして 締めは「国家破綻」はこわくない。 未来の3つのポイントを挙げ、
①楽観シナリオ
②悲観シナリオ
③破滅シナリオ
を挙げている。 どれを引いても何とかなりそうだ。
現状を見極め ハルマゲドンに備えて、やっておきべきことをシュミレートし、
有事に備える事が大事だ。
終章 ゆっくり考える事のできる人が資産運用に成功する。
導き出された結末は これからの資産運用は儲けることではなく、労働市場から富を獲得できなかったときの為の保険と考えるべきである。高齢化社会の悠々自適は魅力を失い、長く働くことが新しい価値になる。
投資の果実を収穫するのは ずっと先でいい。らしい。
そうだろうか? ゆっくり考えすぎて、何もできないまま その場に立ち尽くし、
惜しみなく国家に奪われる人が増えていくような気がしてならない。
本書を読んで 金融リテラシーが高まるのはどうか?はわからない。
それは個人差によるから。 でも 本書をきっかけに
お金の事についてきちんと考える時間をつくる人が多くなることを
切に祈る。
新版 満室大家さんになる方法
実践向きの良書です。
おすすめしたいのは。。。
地方に投資を検討している方、物件管理のいろは。。。賃貸経営とは?
満室になる物件づくりとは?などなどの理解を深めたい方。
空室で悩む大家さん、お部屋のインテリアや
リノベーションを検討中の大家さんです。
著者の 山岡清利さんは 札幌が好きが高じて 札幌の賃貸物件(アパート)を購入し、遠方大家としてキャリアをスタート。
遠方ゆえの管理状況の難しさから 自ら札幌へ移住。
札幌に住んでみて気付いた賃貸経営の難しさ、賃貸物件激戦地区への新参者としての苦闘と奮闘の記録です。
又、山岡氏は 全国に増えつつある同胞の大家さんに
エールを送るべく、ご自身で培ったノウハウを余すことなく
本書で伝授してくださっています。
<ここは勉強になったポイント:ダイジェスト>
山岡氏流の「満室リフォーム術」
オンリーワン戦略ー> 2本立て
1)仲介業者対策・・・優先して紹介したくなる仕組み(売上が上がる部屋)
商品である「お部屋」を魅力的に仕上げ、内見率を高める。
2)お客様対策・・・単純に 「お得」「ここに住みたい」
「迷っていたら誰かに取られる。」 と感じてもらう。
=> 1)と2)の状況に有効な対策とは?
差別化リフォーム戦略と物件の価値と知名度をUpさせること!が必要。
はたまた、差別化リフォームとは???
山岡氏流ー> 清潔感とオンリーワンを重視したリフォーム。
満室を目指す第一歩は「新章」に凝縮されています。
その他の章については、すでに旧版を読んだ方にとっては
重複する内容ですので、割愛しますが。。。
これからの賃貸経営には
「魅力あるお部屋づくり(商品づくり)」がKey になる。
山岡氏の提案する
「清潔感とオンリーワンを重視したリフォーム。」 これは山岡氏が導き出した
結論。いわば 山岡氏の物件の持ち味。
山岡流 清潔感とオンリーワンを重視したリフォームをベースに
私の独自性・オリジナリティ(物件をとりまく地域性や強み・弱み)などなど。。。
を物件に反映することができれば、
「勝てる」 物件に変える・持つことができるのでは! と。。。。思います。
読後は 山岡氏の提案する リフォームを実践するのか? しないのか?
コストも絡むことですし、多いに悩めるところですが。。。
動かなければ「何も変わらない」 悩む時間があれば 動いた方がいい。
そんな気持を後押ししてくれる一冊です。
ちなみに 山岡流を参考にして
私も自分の物件をリフォームいたしましたところ、
改装物件をレインズ(不動産流通機構の情報ツール)に公開後、
わずか1日で 内見申し込み(2件)ー> 夕方には 入居申込書を
頂戴するという。。。スピードです。
仲介業者さんとお客様 の心に響く物件づくりが出来ました。
正直。。驚いています。
まあ、心に響く写真の撮り方 などもテクニックとして必要になるのですが、やはり、基本は「売れる物件づくり」です。
今後は 不動産投資関連本(大家さん目線の賃貸経営指南本)を
読み込んで 順次 記録していきたいと思います。
(新版)「遠方・地方・激戦区」でも満室大家になる方法~大家の駆け込み寺「満室研究所」所長が教える
- 作者: 山岡清利
- 出版社/メーカー: ごま書房新社
- 発売日: 2014/03/01
- メディア: 単行本
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大君の通貨 幕末 『円ドル』戦争
凶悪
先週末に「凶悪」の映画を鑑賞。 なんだかすっきりしないので、
再読してみました。 というのも、映画はプロットの作り方が雑に感じて、
最初に読んだ時の衝撃と驚きがまったく伝わってこないし、なによりも映画から「オリジナルのルポを読んでみようか。。」という気持ちにさせる力量が無い。鑑賞者を読者に変えるべく訴えかけるものが無いと思ったから。
映画鑑賞後、「こんな話だったっけ???」 と逆に再度 文庫を引っ張ってきて
検証したくなりました。
断言します。
この事件を追っていく様子の醍醐味は活字にはかなわない。
もともと、この事件を追うきっかけになったのは、東京拘置所に勾留されている、
死刑判決を受け、最高裁に控訴中の強盗殺人事件の犯人、高橋被告から受け取った手紙がきっかけだった。
その手紙を受け取ったのは、新潮45 編集部 宮本記者。
半信半疑ながら、最高裁に上告中の極悪殺人事件の後藤良次という被告人に接触、時効でもない事件につき、獄中から紙面で殺人を告発するという前代未聞の展開を経て、警察を動かし、何食わぬ顔で世間をかっぽする、事件の首謀者に切り込んで行くのである。
あり得ない話が具現化した事実は、説得力があり、良い教訓となった。後味は悪いけれど…
金は身を助けることもあるが、金がきっかけで命を落とすこともある。
金が全てではないけれど、たかが金、されど金。2回目もやはり同じ感想しか湧いてこない。
怖い話だった。
100万人を破滅させた大銀行の犯罪
題名からして、物議を醸しだしそうな内容でどんなものか?と
読み始めた。
発行は2001年。 ちょうどバブルが弾けて銀行が貸し剥がしで
躍起になっている頃にリリースされた本書は
およそ12~14年前に起こった銀行の経営責任を検証するにはもってこいの内容。
事件や出来事は風化してしまいがちですが、
本書を読んで曇りがちな視点をしっかり養いたいと思います。
不良債権の処理を監督官庁や国会が容認し、国民を見殺しにした事は忘れるべからず。
第一章 罪なき金融被害者の「無間地獄」
最初の4行目から のけぞった。
野中政男さん(仮名)はまず、自分が自民党員であることを告げた。銀行にだまされたので、その解決を頼みに自民党に陳情に行ったが、
「そんな契約はしていない」とけんもほろろ。
藁にもすがる思いで野党各党を回ったが、「個人の問題だ」と冷たくあしらわれた。
最後は、断腸の思いで共産党の門を叩いた。共産党は大蔵委員の秘書が対応したが、政党が動くよりも、弁護士に相談したほうがよいと判断。その秘書から私(著者:椎名麻紗枝 弁護士)を紹介されたのだということだった。
まっとうな対応をしたくれたのは 唯一「共産党」 のみ。
他の政党はわれ関せずとばかりに追い払ったということですね。
まあ、銀行と結託してますから、当たり前か。。。
いよいよ本題に入るのはP26から。。
銀行が株投資に31億円を融資?
臨場感あふれる描写で、読み進めるうちになんとも言えない気持ちにさせられた。
くだんの 野中さんが東京銀行(三菱東京UFJ)から借り入れた金額は26億円! 金銭消費賃借契約書も6通!! おまけにワリトーを担保に手形貸し付けで5億円の融資をうけていたので、東京銀行(三菱東京UFJ)から借り入れた金額はTOTAL 31億円!!!にのぼる。。。。
金額もすごいが、金銭消費賃貸契約書の資金使途欄が
いずれも「有価証券投資」。。。。 いわば 博打にお金を31億も
銀行が個人へ融資したということね。。。
銀行は社会的公共性? が高い?はずではなかったのかしら。
このケースを追っていくと。。
当時銀行が設定していた返済に充てられる額は
「年収700万円以上1,000万円未満は、年収の35%以内、年収1,000万円以上は年収の40%」と設定している。
31億円の年間金利は、当時の金利6%、元金据え置きとしても、1億8,000万となる。
年収は、最低でも4億6,500万円。。。は必要。。。
孫正義クラスでないと設定できない条件だわ。。。。
ここまで、傷口が広がってしまった理由の一つに
東京銀行が株取引の損失を取り戻すために追加融資を進めたこと。
東京銀行は証券会社出身の課長を担当にして 第七証券と結託し、
87回もの株取引を行い回転売買だけで、第七証券は3,132万円の手数料を稼ぎだし、
東京銀行もこの間に2億円の金利を儲けた。 そして。。26億円は消えた。。。
融資したお金でしっかり利益は持ってく 銀行・証券。
恐ろしいね。。。
おまけに融資手続きにも問題あり。。。
融資を受けるにあたって作成した通帳を半年以上も銀行が保管し、「念書」も取らずにウィルフォロー扱いをおこない、やりたい放題。
当事者の野中さんは 銀行から送付されてきたひとまとめの白紙払い出し伝票に、銀行から指示されるまま、銀行印を押印して銀行の担当者に返送。
銀行はそれらの払い出し請求書に野中さんの名前と金額を書き入れて、出金したのち、証券会社に送金。 こんなところだけは 段取りいいね。
これって。。白紙委任状を銀行担当者に渡した事と同じ。 危険極まりない。。。裏を返すとそれだけ野中さんは銀行を信頼していたということですかね。
その後、この件はどんな決着を迎えたのか・・
銀行側も責任を認め、椎名弁護士の尽力で銀行と証券会社と野中さんの三者、イーブンの負担で和解となりそうであったが。。。決裂。
その後、東京銀行は三菱銀行との合併直前の96年2月に融資金26億円の
請求訴訟を起こし(身綺麗にして合併。当然かな。)。。。。野中さんはストレスから精神に変調をきたす。
投薬治療中に 2001年7月東京三菱銀行(三菱東京UFJ銀行)は野中さんの敗訴判決を待って、野中さんの自宅をはじめすべての不動産に競売をかけた。。。
つまり、野中さんの敗北。
あれ? この結末はどこかで 読んだような。。
そうそう。 マネー・ヘッタ・チャン ! 現実はこんな風に行われていたということだったんだ。。。
椎名弁護士は ここで日本の司法制度を嘆く。
日本ではこうした「借り手」が勝つことは、よほどの事がない限り難しいのだ。それに本来裁判は、「武器対等の原則」でなければならないのに、実際の裁判では、立証責任がどちらかにあるかが、決定的に重要だ。立証責任のある方が、その事項について裁判官に確信をもたせられないと、負けてしまう。 それに加えて、裁判官は、銀行を無批判に信頼する傾向にある。野中さんの証言と銀行員の証言では、裁判所は銀行員を信用することは目に見えていた。裁判官は、学歴や肩書きで人物を評価する傾向が強いからだ。 裁判官は、野中さんに対して、そのプロセスをなんら顧みることなく、ただ「株取引で失敗したためにその損失を銀行のせいにしている」という心証を持つに違い無い。 それにそもそも裁判の印紙代だけでも、31億円ということになれば、700万円以上かかる。お金がなければ、裁判は起こせない。ただでさえ多額の負債を負った身には、正義を問うことすらかなわないのである。
なんともやりきれない。。 日本の裁判では、銀行被害者は救済されにくい仕組みになっているんだ。。。。
ここで取り上げた、野中さんの例を皮切りに、
椎名弁護士の扱った様々な ケースが本書は続く。読んでいるのが苦しくなるが、
これは今後も起こりうる事で、忘れてはならない。
椎名弁護士ははっきり書いている
バブル期に大銀行が行ったのは、巧妙に自己責任による選択権を奪う手口だったのだ。
近頃は相続税の変更に伴い、銀行の相続税セミナーや相続税対策と称した
パンフレットが飛び交っている。
本書と同じセオリーでまた被害者が増えそうである。
相続税対策と称して 遊休土地の活用やら保険商品を勧められそうで、
なんだか怖い。。。 警告となる一冊です。