*乱読事始め*

気の向くままに視覚に入った本・インスピレーションを感じた本の感想を書いてみます。

平成経済事件の怪物たち

かって世間を賑わせた経済事件、スキャンダルは一体どんな事件だったのか?
突然、メディアを騒がせて どうなることかと思っているうちに
これまた 突然の幕引きで有耶無耶になり、
『結局、あの騒ぎの結末はどーなったんだろ?』ダイジェスト版で
レビューするのに良い内容です。

すでに鬼籍に入ってしまった主人公もおりますが、現在、表向きは
ひっそりと隠居されてることになっている主人公もいるので、
再び 経済事件で世の中に出てこない事を切に祈ります。
悪事千里を走る。今はネットで暴かれる?の方が正しいかな?

この本に登場する15人の怪物たちは以下の通り: 凄いメンバーです。

高橋治長銀を潰した男
許 永中    最後の大物フィクサー
磯田一郎  住友銀行天皇
田淵節也  証券界のドンの特攻経営
尾上 縫     興銀を掌で転がした美人女将
金丸 信     佐川急便と5億円闇献金事件
小沢一郎   政治と金の呪縛
田谷廣明、中島義雄  接待汚職で失墜した大蔵官僚
早坂太吉、末野謙一、佐佐木吉之助  不動産神話の申し子達
武井保雄    武富士サラ金帝国の滅亡
村上世彰    ファンドバブルの鬼っ子

とまあ、帯の表記に従ってラインナップしました。
人物の後にサブタイトルを付けて どんな事件に絡んだ主人公なのか
分かり易い表記になってます。

私感ですが、この15人の中でトップ3のランキングを付けるとしたら
私はこの3人を選択します。

第1位  磯田一郎
三井物産に勤務するエリートの父を持ち、不自由なく勉強に専念、
京都帝国大学法学部を卒業後、住友銀行へ入行。
学生時代はラガーマンとして活躍し、文武両断の名バンカーとして
若い頃から銀行界では有名な存在。
取締役に就任したのが 1960年 46歳!! 当時にしてはかなり若い重役である。

ここまで書いていて、ゲンナリするのは…血統の良いお坊ちゃんが
仕事でも成功して同期をぶっちぎってトップで取締役に就任。
怪物に変貌する必要は無いと…思うんですが。
この後が問題。
順調に出世して77年に頭取就任。絵に描いた餅のような出世物語です。
これで双六は上がり?と思いきや、83年に会長に就任。
その後は13年も会長として居座って銀行を私物化…怪物になってしまったんですね。
権力とは恐ろしい。

腑に落ちないのは本書に実績として
『安宅産業』の破綻処理…と記載がありますが、この破綻処理 に尽力されたのは
現場で陣頭指揮をとっていたバンカーの方々なのでは?
 当時の状況を赤裸々に書かれた 『ザ・ラスト バンカー』を読んでいたので
磯田一郎氏が本件に真摯に問題解決の為取り組んでいた様には思えません。

むしろ『イトマン事件』の 張本人で愛娘可愛さの余りに銀行を食い物にし、
結局 だんまりを決め込んで鬼籍に入った。ー 身勝手な人の印象が強い。
本書の磯田一郎の章の最後の一文に
かっての住銀時代の部下が礒田氏の病床を見舞う事は無かった。と締めくくられていますが、
当然ですよね。最後は慕ってくれる部下も失ったということですね。
天皇と仰がれてもこんなバンカーになってはいけない!の見本です。

一つだけ磯田氏の決断で生まれた副産物といえば、
アサヒスパードライ。
86年に確執が深まった天敵、樋口廣太郎氏をアサヒビールへ片道切符で送り込んだのは
正しい判断?。樋口氏がいなければ、アサヒスパードライも存在しなかったことでしょう。
と…言われています。
副頭取の樋口氏に不都合なことを意見されたに磯田氏は、灰皿を投げつけた‼︎?との
伝説があるのですから…樋口氏にとっても転出は吉だったんでしょうね。

読んでいて不愉快な気持ちにさせられた章でした。

第2位  小沢一郎
言わずもがな、政界のカメレオン。
この人を怪物と言わずして、誰を怪物?と呼ぶのか?
政治資金規正法違反で一人無罪を勝ち取った挙句、民主党員資格停止処分の後に
結党したのが『国民の生活が大事』ですからね。
このフレーズをポスターで見た時は卒倒しそうになりました。

今後はどんな巻き返しを測るのか? 
一説には 小沢氏が総理大臣に就任したら、日韓、日中の外交問題
収まると言われているだけに今後の動向に目が話せません。


第3位 田谷廣明、中島義雄の大蔵官僚コンビ
公僕たる官僚の役割を逸脱した不届者。
ノーパンしゃぶしゃぶと小銭で操られるな!!と言いたい。
彼らを含めた 大蔵(財務省)・日銀 官僚の接待汚職の摘発は、
国民に根深い疑念の目を植えつけたと思う。
彼らの様な官僚に日本の財政をお任せしてよいのだろうか????
本気で心配になってくる。だけど 深く考えてはいけないかもしれません。
税金を払うのが嫌になってしまうので。


番外編: 武井保雄  
死して 尚、タダでは死なない人物…
一体何のCMだか不明の シンクロナイズ・ド・ラブ に乗って踊る
武富士ダンサーズのスポンサー。貸金業武富士 創業者である。
本書では成金親父の紆余曲折の末、成功したのち、蓄財失敗で破綻。といったストーリー。
私の印象としては 逝去した後、武井家相続税裁判の顛末の鮮やかさに拍手喝采である。

平成も26年が過ぎ、子供の頃に騒いでいた?あの事件の真相を知るには
オススメ致します。
過去の事件を紐解いて、
知れば知るほど、池上彰さんのコメントを思い出します。
30年経過すると世代が交替するので、同じ様な事件が起こる。
学習しておいた方が良い様です。





臆病者のための億万長者入門

金融リテラシーの低い人に贈る 橘 玲氏からのメッセージ

を込めた本書。

冒頭のはじめから、

「金融業界の不都合な真実をすべてのひとに」と打ち上げ花火をあげており、あれ? なんだか どっかの環境団体?(アル・ゴア氏?)のプレゼンみたい?だな。。。。

どんなものかと?思い読み進めてみると、

第一章 資産運用を始める前に知っておきたい大切なこと。ここで至極当たり前の事が書かれています。

お金持ちになるための方法ー実は3つしかない。

ここでどんな運用や金融商品を伝授してくれるのかしら。。とわくわくしていると

ガクッとこけます。

①収入を増やす。

②支出を減らす。

③資産を上手に運用する。

とあり、総資産=収入-支出+(資産×運用利回り) 

勤労と倹約、リスク管理した堅実な運用をする「賢い投資家」になることだ。で締め。

至極当たり前の事をもっともらしく書いて、肩すかしをされてる感じ。

その次もこれからのお話を進める前に、

「君たち、わかってる? 年金問題は個人で解決できる問題なんだよ?」

とばかりに 市場経済で私達がお金を手にする2つの方法。

①総資本=人的資本+金融資本

人的資本とは 勤労。  金融資本とは下の方程式。

②金融資本=預貯金+不動産+年金+相続財産

②を運用することによって、さらに

1)資産のリスクを最小化

2)資産のリターン(利益)を最大化

3)資産運用に必要なコストを最小化

 

リスクを取りたくなければ、お金はすべて銀行に預金しておけばいい。最大化したければ、レバッジをかけたハイリスクなFXがいいだろう。

と。。。。ごく当たり前の事を書き連ねた挙句、

老後は誰もが一人の投資家なので、「定年」といった強制解雇を自らの努力と工夫によって、個人的に解決し、長く働いて、老後を短くする方法を考えよう。

人的資本の運用を真剣に考えよう! と。。続く。

まあ。。。。確かにアメリカには 「定年」という制度はありませんけどね。

 

この調子は次の第二章「金融の常識」にだまされないために。

で続く。

宝くじは割に遭わないギャンブル。 愚か者に課せられた税金 と

続き、宝くじに大金を払っている限り、資産運用に成功することは永遠にない。

と宝くじは国家が親となって、夢見る一般市民をだますための

効率の良い ぼったくり だ! と仕組みを教えてくれる。

うーん。 この宝くじの仕組みについては、橘氏の別の著作から開示いただいた内容のようであるが。。。 理解できていない人が多いと感じているのでしょうか。

何度も説明しているのに、宝くじにお金を使う人が存在することにご立腹のようです。

その怒りは 「不幸のくじ」生命保険の正しい考え方 まで、続きます。

この章は、まさに。。 橘氏のおっしゃるとおり、宝くじより割の悪いギャンブル。

それは、外れることに意味があるギャンブルですから。。。

日本の大手の生命保険会社がこれまで保険の原価を企業秘密として一切公表していないことからも理解できるように、保険会社が損をしないようにスキームが組まれているということなのです。

<余談ですが、原価を公表しているのはライフネット生命一社 のみ> 

というわけで、ただしい 生命保険の選び方は

①もっとも経費率の低い生命保険に加入。

②保障は必要最低限

③保障が不要になったら、すぐに解約する。

 

以上3点を網羅していれば、それでOK!

> 保険はなんだかわからいまま契約をしてしまい、

毎月、20,000円ぐらいのお金を強制的に銀行引き落としで

契約→支払させられてしまっている人が多いと思います。

契約の内容をきちんと見直した方がよさそうです。

貯蓄型の保険だったのに。。。 「定期保険」 となっていると60歳を超えた時点で、期待していた金額の受け取りができなくなる可能性があります。

自分が契約した保険が 「定期」なのか?「終身」なのか?また、どんな保障を受ける事ができるのか?確認してみましょう。

以上のようなおとぎ話が続いた後、

「資産運用の4つの原則」をしっかり頭に叩き込みましょう。

①確実に儲かる話はあなたのところには絶対来ない。

②誰も他人のお金の事を真剣に考えたりしない。

③誰も本当の事を教えてくれない。

④自分の資産は自分で守るしかない。

>>>うまい話はすべて無視!するのが一番。

きっと投資詐欺にだまされている人を見て、苦々しく思っているんでしょうね。

橘氏のストレスを感じ取れます。

 

第三章 臆病者の為の株式投資法

ここからは、少し論調が柔らかくなり、日本株の暴落をどうやって的中させたか?

やや自慢気味になり。。 カラクリを説明してくれています。

 

第四章 為替の不思議を理解する

こちらも以前 橘氏の著書で取り上げた内容と重複するような?気がしていますが、

ベトナムドンの高金利定期預金、 カンボジアの年利7.75%の米ドル預金

についてカラクリを説明。2~3年前に騒がれていましたが、

ここでさらにおさらい。 興味のある人は自己責任で挑戦してみては?

と締めくくります。

11.外貨預金に為替リスクはない

こちらは本書をお確かめあれ。 橘氏の見解と論証が展開されます。

12.FXでふつうのおばさんが億万長者になった理由

経済には直感的に正しい理屈がじつは間違っている ということがたくさんある。

これを「ブードゥー経済学」と呼び 為替レートについての誤解の典型です。

投資がギャンブルの一種。 金融市場というのは、そういうところなのだ。と理解することである。

 

第五章 マイホームという不動産投資

マイホームと賃貸、どちらが得か。

マイホームの購入というのは不動産投資以外の何物でもない。

地価が上昇すれば、得をするし、下落すれば損をする。。。。当たり前の話ですね。

リスク耐性の高い企業やファンドが不動産を保有し、リスク耐性の低い個人はそれを賃借した方が系税的に合理的だ。。。ということになる。

しかし、だれもが経済的合理性を考え始めると、不動産開発会社はすべてのリスクを自ら負わなければならなくなる。それよりもマンションや建売住宅で転売し、

ノーリスクで儲けた方が勝機あり。

というわけで、あの手この手で マイホームの夢 を不動産会社の営業は語るのです。

そして、この章の肝である。。。

マイホームが得な理由な借金にある。

> 賃貸よりも購入した方がお得。 つまり 借金は得ですよ! 

という売り文句の説明。

だが、得になるのは 地価が上がる ! とういことが前提にあって成り立つ理論であり、地価が下落したら。。。レバッジをかけた投資はその分だけ損失が大きくなるのである。。。。。

というわけで、借金のリスクをオブラートに包むように隠すことにより、

賃貸は損! マイホームは得!というセオリーが生まれたようです。

不動産購入は 真剣に取り組もう。。。 

適正価格を計算し、不動産の収益還元法でちゃんと計算してみよう。

現在は時代に追いついて、不動産業界も世界標準の考え方になり、収益還元法の価格で取されるようになってきたようであるが。。。

東京オリンピック が引き金となり、さらなる 悲劇が生まれそうな気配を感じる。

株式市場と不動産市場を比較してみると。。

不動産市場は金融商品でありながら、まだまだ不透明で閉鎖された取引市場であると

いうことがわかる。

①不動産は相対取引

②不動産取引では売り手の希望価格しかわからない。(時価は不明)

③不動産取引では顧客を差別するのは当たり前。

④不動産取引では最低限の情報しか得られない。

⑤不動産仲介手数料はいまだに割高。

市場が閉鎖的であればあるほど 素人はぼったくられる。

不動産取引は先物取引よりずっと危険なのだ。。。 

この先に続く

インサイダーマーケットには手をだすな。

「家賃保証」という空約束。

掘り出し物の物件を買ったのはだれか。

不動産の営業マンは賃貸を選んでいる。

不動産神話と進化論

では 割愛するとして。。。。

マイホームの購入にあたっては、自分が不動産というリスク資産にレバッジをかけて

大きな投資をしているという自覚をするべきである。

それを踏まえた上で、 賃貸かマイホームか? 考えた方がよさそうである。

 

第六章 アベノミクスと日本の未来

ここからは年金問題。 年金財政を健全化する3つの方法を挙げ、

①年金保険料を増やす

②年金支給額を減らす

③資産の運用利回りを上げる

またまた、至極当たり前の話からスタート。

そして 締めは「国家破綻」はこわくない。 未来の3つのポイントを挙げ、

①楽観シナリオ

②悲観シナリオ

③破滅シナリオ 

を挙げている。 どれを引いても何とかなりそうだ。

現状を見極め ハルマゲドンに備えて、やっておきべきことをシュミレートし、

有事に備える事が大事だ。

 

終章 ゆっくり考える事のできる人が資産運用に成功する。

導き出された結末は これからの資産運用は儲けることではなく、労働市場から富を獲得できなかったときの為の保険と考えるべきである。高齢化社会の悠々自適は魅力を失い、長く働くことが新しい価値になる。

投資の果実を収穫するのは ずっと先でいい。らしい。

そうだろうか? ゆっくり考えすぎて、何もできないまま その場に立ち尽くし、

惜しみなく国家に奪われる人が増えていくような気がしてならない。

本書を読んで 金融リテラシーが高まるのはどうか?はわからない。

それは個人差によるから。 でも 本書をきっかけに

お金の事についてきちんと考える時間をつくる人が多くなることを

切に祈る。

 

 

臆病者のための億万長者入門 (文春新書)

臆病者のための億万長者入門 (文春新書)

 

 

 

 

 

 

新版 満室大家さんになる方法 

実践向きの良書です。

おすすめしたいのは。。。

地方に投資を検討している方、物件管理のいろは。。。賃貸経営とは?

満室になる物件づくりとは?などなどの理解を深めたい方。

空室で悩む大家さん、お部屋のインテリアや

リノベーションを検討中の大家さんです。

 

著者の 山岡清利さんは 札幌が好きが高じて 札幌の賃貸物件(アパート)を購入し、遠方大家としてキャリアをスタート。

遠方ゆえの管理状況の難しさから 自ら札幌へ移住。

札幌に住んでみて気付いた賃貸経営の難しさ、賃貸物件激戦地区への新参者としての苦闘と奮闘の記録です。

又、山岡氏は 全国に増えつつある同胞の大家さんに

エールを送るべく、ご自身で培ったノウハウを余すことなく

本書で伝授してくださっています。

 

<ここは勉強になったポイント:ダイジェスト>

山岡氏流の「満室リフォーム術」 

オンリーワン戦略ー> 2本立て 

1)仲介業者対策・・・優先して紹介したくなる仕組み(売上が上がる部屋)

商品である「お部屋」を魅力的に仕上げ、内見率を高める。

 

2)お客様対策・・・単純に 「お得」「ここに住みたい」

「迷っていたら誰かに取られる。」 と感じてもらう。

 

=> 1)と2)の状況に有効な対策とは?

差別化リフォーム戦略と物件の価値と知名度をUpさせること!が必要。

はたまた、差別化リフォームとは???

山岡氏流ー> 清潔感とオンリーワンを重視したリフォーム。

 

満室を目指す第一歩は「新章」に凝縮されています。

その他の章については、すでに旧版を読んだ方にとっては

重複する内容ですので、割愛しますが。。。

 

これからの賃貸経営には

「魅力あるお部屋づくり(商品づくり)」がKey になる。

 

山岡氏の提案する

「清潔感とオンリーワンを重視したリフォーム。」 これは山岡氏が導き出した

結論。いわば 山岡氏の物件の持ち味。 

山岡流 清潔感とオンリーワンを重視したリフォームをベースに

私の独自性・オリジナリティ(物件をとりまく地域性や強み・弱み)などなど。。。

を物件に反映することができれば、

「勝てる」 物件に変える・持つことができるのでは! と。。。。思います。

 

読後は 山岡氏の提案する リフォームを実践するのか? しないのか?

コストも絡むことですし、多いに悩めるところですが。。。

動かなければ「何も変わらない」 悩む時間があれば 動いた方がいい。

そんな気持を後押ししてくれる一冊です。

 

ちなみに 山岡流を参考にして

私も自分の物件をリフォームいたしましたところ、

改装物件をレインズ(不動産流通機構の情報ツール)に公開後、

わずか1日で 内見申し込み(2件)ー> 夕方には 入居申込書を

頂戴するという。。。スピードです。

仲介業者さんとお客様 の心に響く物件づくりが出来ました。

正直。。驚いています。

まあ、心に響く写真の撮り方 などもテクニックとして必要になるのですが、やはり、基本は「売れる物件づくり」です。

 

今後は 不動産投資関連本(大家さん目線の賃貸経営指南本)を

読み込んで 順次 記録していきたいと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

大君の通貨 幕末 『円ドル』戦争

1854年 アメリカの黒船 ペリー提督の一行が下田に現れ、江戸幕府は開国を迫られる。
日本史、世界史の教科書にはたった数行で片付けられてしまっているが、
この行間の隙間にどんな歴史の事実が潜んでいるのか?
考えた事はあっただろうか?

本書は 幕末日本が開港した時に、横浜で小判が大量流出した。。。。
それは日本と諸外国の金銀比価の違いから生じた事で、原因は日本人の
つまり時の江戸幕府の大名達の無知から生じたせいだと。……アングロサクソン達の史実では
説明されている様である…。

果たして、真実は彼らの主張通り?だったのであろうか?
当時の江戸幕府は無力で愚かだったのであろうか?

かねてからの疑問を解くべく、作者 佐藤 雅美氏 の挑戦が始まった。

物語はイギリスの初代駐日外交代表 ラザード・オルコックが辞令を受け、日本に来航した1859年、もしくは
安政6年 ここから物語が始まる。

大筋のストーリーは
無理難題とゴリ押しで私腹を肥やした米国公使 タウンゼント・ハリス 及び ハリスを訝しげに観察しながらも、結局はハリスに同調し対日圧力を加速した イギリスの初代駐日外交代表 ラザード・オルコック 二人の確信犯が 為替操作で資産を増やし、江戸幕府を凄まじいインフレに陥れた。。。そんなとこでしょうか?
結果、この騒動をきっかけに江戸幕府は崩壊し、明治維新が起こり 近代化日本に生まれ変わるのであるからして、災い転じて福が来たと言えるのだろうか?

それにしても、日本人という立場で本書を読み進めるのはすこぶる 不快である。
幕府の通貨政策に対する無策ぶりと情報と知識不足の外交音痴には。。。現在の外務省、 日本政府をそのまま投影している様にも思えるのはわたしだけなのだろうか? 
いやいや、そうでは無い。
江戸時代末期に幕府が遭遇した負の歴史、
日本人であるならば、知っておきたい 史実の一つの様に思えてならない。

本書の初版は19年前の1984年。通貨の物語 なので難解だったのであろうか?
あまり部数は伸びなかった。。。。様である。 誠に残念。
その後、文藝春秋から 大幅に手を加えて 新版が出された。というこれもまた、再び世に出るには波乱の事情があったようだ。
埋もれるには惜しい内容ですからね。。。
多くの日本人に読んでもらいたいものである。

大君の通貨―幕末「円ドル」戦争 (文春文庫)



凶悪

先週末に「凶悪」の映画を鑑賞。 なんだかすっきりしないので、

再読してみました。 というのも、映画はプロットの作り方が雑に感じて、

最初に読んだ時の衝撃と驚きがまったく伝わってこないし、なによりも映画から「オリジナルのルポを読んでみようか。。」という気持ちにさせる力量が無い。鑑賞者を読者に変えるべく訴えかけるものが無いと思ったから。

映画鑑賞後、「こんな話だったっけ???」 と逆に再度 文庫を引っ張ってきて

検証したくなりました。

断言します。 

この事件を追っていく様子の醍醐味は活字にはかなわない。

もともと、この事件を追うきっかけになったのは、東京拘置所に勾留されている、

死刑判決を受け、最高裁控訴中の強盗殺人事件の犯人、高橋被告から受け取った手紙がきっかけだった。

その手紙を受け取ったのは、新潮45 編集部 宮本記者。

半信半疑ながら、最高裁に上告中の極悪殺人事件の後藤良次という被告人に接触、時効でもない事件につき、獄中から紙面で殺人を告発するという前代未聞の展開を経て、警察を動かし、何食わぬ顔で世間をかっぽする、事件の首謀者に切り込んで行くのである。

あり得ない話が具現化した事実は、説得力があり、良い教訓となった。後味は悪いけれど…

金は身を助けることもあるが、金がきっかけで命を落とすこともある。

金が全てではないけれど、たかが金、されど金。2回目もやはり同じ感想しか湧いてこない。

怖い話だった。


凶悪―ある死刑囚の告発 (新潮文庫)



 

 

 

100万人を破滅させた大銀行の犯罪

題名からして、物議を醸しだしそうな内容でどんなものか?と

読み始めた。

発行は2001年。 ちょうどバブルが弾けて銀行が貸し剥がし

躍起になっている頃にリリースされた本書は

およそ12~14年前に起こった銀行の経営責任を検証するにはもってこいの内容。

事件や出来事は風化してしまいがちですが、

本書を読んで曇りがちな視点をしっかり養いたいと思います。

不良債権の処理を監督官庁や国会が容認し、国民を見殺しにした事は忘れるべからず。

 

第一章 罪なき金融被害者の「無間地獄」

最初の4行目から のけぞった。

野中政男さん(仮名)はまず、自分が自民党員であることを告げた。銀行にだまされたので、その解決を頼みに自民党に陳情に行ったが、

「そんな契約はしていない」とけんもほろろ。

藁にもすがる思いで野党各党を回ったが、「個人の問題だ」と冷たくあしらわれた。

最後は、断腸の思いで共産党の門を叩いた。共産党は大蔵委員の秘書が対応したが、政党が動くよりも、弁護士に相談したほうがよいと判断。その秘書から私(著者:椎名麻紗枝 弁護士)を紹介されたのだということだった。

まっとうな対応をしたくれたのは 唯一「共産党」 のみ。

他の政党はわれ関せずとばかりに追い払ったということですね。

まあ、銀行と結託してますから、当たり前か。。。

 

いよいよ本題に入るのはP26から。。

銀行が株投資に31億円を融資?

臨場感あふれる描写で、読み進めるうちになんとも言えない気持ちにさせられた。

くだんの 野中さんが東京銀行三菱東京UFJ)から借り入れた金額は26億円! 金銭消費賃借契約書も6通!! おまけにワリトーを担保に手形貸し付けで5億円の融資をうけていたので、東京銀行三菱東京UFJ)から借り入れた金額はTOTAL 31億円!!!にのぼる。。。。

金額もすごいが、金銭消費賃貸契約書の資金使途欄が

いずれも「有価証券投資」。。。。 いわば 博打にお金を31億も

銀行が個人へ融資したということね。。。

銀行は社会的公共性? が高い?はずではなかったのかしら。

 

このケースを追っていくと。。

当時銀行が設定していた返済に充てられる額は

「年収700万円以上1,000万円未満は、年収の35%以内、年収1,000万円以上は年収の40%」と設定している。

31億円の年間金利は、当時の金利6%、元金据え置きとしても、1億8,000万となる。

年収は、最低でも4億6,500万円。。。は必要。。。

孫正義クラスでないと設定できない条件だわ。。。。

 

ここまで、傷口が広がってしまった理由の一つに

東京銀行が株取引の損失を取り戻すために追加融資を進めたこと。

東京銀行は証券会社出身の課長を担当にして 第七証券と結託し、

87回もの株取引を行い回転売買だけで、第七証券は3,132万円の手数料を稼ぎだし、

東京銀行もこの間に2億円の金利を儲けた。 そして。。26億円は消えた。。。

融資したお金でしっかり利益は持ってく 銀行・証券。

恐ろしいね。。。

 

おまけに融資手続きにも問題あり。。。

融資を受けるにあたって作成した通帳を半年以上も銀行が保管し、「念書」も取らずにウィルフォロー扱いをおこない、やりたい放題。

当事者の野中さんは 銀行から送付されてきたひとまとめの白紙払い出し伝票に、銀行から指示されるまま、銀行印を押印して銀行の担当者に返送。

銀行はそれらの払い出し請求書に野中さんの名前と金額を書き入れて、出金したのち、証券会社に送金。 こんなところだけは 段取りいいね。

これって。。白紙委任状を銀行担当者に渡した事と同じ。 危険極まりない。。。裏を返すとそれだけ野中さんは銀行を信頼していたということですかね。

 

その後、この件はどんな決着を迎えたのか・・

銀行側も責任を認め、椎名弁護士の尽力で銀行と証券会社と野中さんの三者、イーブンの負担で和解となりそうであったが。。。決裂。

その後、東京銀行三菱銀行との合併直前の96年2月に融資金26億円の

請求訴訟を起こし(身綺麗にして合併。当然かな。)。。。。野中さんはストレスから精神に変調をきたす。

投薬治療中に 2001年7月東京三菱銀行(三菱東京UFJ銀行)は野中さんの敗訴判決を待って、野中さんの自宅をはじめすべての不動産に競売をかけた。。。

つまり、野中さんの敗北。

あれ? この結末はどこかで 読んだような。。 

そうそう。 マネー・ヘッタ・チャン ! 現実はこんな風に行われていたということだったんだ。。。

 

椎名弁護士は ここで日本の司法制度を嘆く。

日本ではこうした「借り手」が勝つことは、よほどの事がない限り難しいのだ。それに本来裁判は、「武器対等の原則」でなければならないのに、実際の裁判では、立証責任がどちらかにあるかが、決定的に重要だ。立証責任のある方が、その事項について裁判官に確信をもたせられないと、負けてしまう。 それに加えて、裁判官は、銀行を無批判に信頼する傾向にある。野中さんの証言と銀行員の証言では、裁判所は銀行員を信用することは目に見えていた。裁判官は、学歴や肩書きで人物を評価する傾向が強いからだ。 裁判官は、野中さんに対して、そのプロセスをなんら顧みることなく、ただ「株取引で失敗したためにその損失を銀行のせいにしている」という心証を持つに違い無い。 それにそもそも裁判の印紙代だけでも、31億円ということになれば、700万円以上かかる。お金がなければ、裁判は起こせない。ただでさえ多額の負債を負った身には、正義を問うことすらかなわないのである。

なんともやりきれない。。  日本の裁判では、銀行被害者は救済されにくい仕組みになっているんだ。。。。

 

ここで取り上げた、野中さんの例を皮切りに、

椎名弁護士の扱った様々な ケースが本書は続く。読んでいるのが苦しくなるが、

これは今後も起こりうる事で、忘れてはならない。

椎名弁護士ははっきり書いている

バブル期に大銀行が行ったのは、巧妙に自己責任による選択権を奪う手口だったのだ。

 

近頃は相続税の変更に伴い、銀行の相続税セミナーや相続税対策と称した

パンフレットが飛び交っている。

本書と同じセオリーでまた被害者が増えそうである。

 

相続税対策と称して 遊休土地の活用やら保険商品を勧められそうで、

なんだか怖い。。。 警告となる一冊です。

 

 

100万人を破滅させた大銀行の犯罪

100万人を破滅させた大銀行の犯罪

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

小さな不動産屋のはじめ方

不動産屋さんの業務とは?どんなものか調べなくてはならず、
取り急ぎ、ブックファーストで平積みになっていたので購入した一冊。
私にとっては物足りない内容でした。

基本中の基本しか記載が無いので、
不動産について全く知識の無い人、
つまり宅建の資格は合格したけど、実際の業務とは?
何やってんのかな?  
よくわからないし、金融機関志望の僕や私の就活に役立ちそうだから、
さらっと理解を深めておこう。
的な学生諸君とか、
主婦の方で地元の不動産屋さんとかに
パートとかアルバイトでお勤めしたいんだけど、どんなお仕事?なのかしら。
的な初心者の方にはオススメします。

良い点は不動産屋知識ゼロ読者のために、ほんの触りですが、6章『口下手でも大丈夫!信頼を得て成功率を高める接客術』で
営業レクチャーもしてくれてますし、
7章では『小さな不動産屋さんを続けて行くためのクレーム・トラブル対策』
にてクレームについての対応方法について想定内で順番に説明してあります。

可もなく不可もなしと言った、入門書ですね。
多少、不動産についての知識がある方は、別の本をお勧めします。

経験ゼロでもムリなく稼げる! 小さな不動産屋のはじめ方 (DO BOOKS)