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*乱読事始め*

気の向くままに視覚に入った本・インスピレーションを感じた本の感想を書いてみます。

海賊とよばれた男…戦い抜いた経営者の軌跡 ☆☆☆

ちょっと古い話になりますが、ゴールデンウィークの後の平日に、明治安田生命の企画で百田尚樹氏の講演会に出掛ける機会がありました。

 
マスコミで活躍されている構成作家なので、きっとお話も上手いんだろうな。
と期待していたとおり、面白かったです。
 
大筋の話は二本立てで
「探偵 ナイトスクープ!」
の構成であっという間に引き込まれ、帰りに本屋に寄り道して購入した
すっかり刺激されて帰宅しました。
百田さんも「日章丸事件」については お仕事仲間の番組構成作家さんから
出光佐三氏の事を聞き、興味を持ったとの事。
暫くはいろいろな人と会うたびに「日章丸事件」って知ってる? と
聞いて回っていたそうです。 
戦後間もない昭和25年に大英帝国・石油国際カルテルに刃向い、
偉業を成し遂げた 出光氏の事をたくさんの人に知ってほしいと思ったのでしょうね。
そのよもや話を百田さんの次の作品に繋ぐべく、担当の編集者さんが
出光佐三氏と日章丸事件の資料を段ボール箱 ひと箱分 いきなり百田さんに送ってきたそうです。
そして資料を手にした瞬間から、この作品が生まれた。
偶然の出会いをきっかけに
「この人物を書いてみよう」と突き動かされた心の動きに感動して、
即決購入しました。
 
前置きは長くなりましたが、本書の内容は期待を全く裏切ること無く1日で読破。
食事も忘れて読んでました。
 
簡単に本書の説明をしますと。。。
小説の主人公 国岡鐵造のモデルになったのは出光興産の創業者 出光佐三氏です。
福岡県の宗像に生まれ 神戸商(現:神戸大学) へ進み 酒井商店で丁稚奉公
という当時はユニークなキャリアをスタート。
没落した家業の状況と家族離散の現実を知り、又 破天荒な資産家との出会いから
国岡商店(出光商会)を起業。
とまあ、長い小説なので、さわりはこのあたりで終了。
 
主人公の国岡は当時の主流だった石炭の時代は終わり、石油の未来が来ると予見。
石油の商いにこだわった。
潤滑油、機械油の扱いからスタートするものの、当初は全く相手にされず、
何度もくじけそうになるが、その都度困難を乗り越えていく実行力と信念は
今の時代の私達が知らなくてはならないのではないか。
 
仕事とは何か?
何のために仕事をするのか?
 
主人公の国岡=出光佐三氏は稀有な経営者・・・ゆえに伝説になったといえばそれまでだが、彼は決して特別な人ではなかったと思う。
ただ、実直に自分のやるべきこと。- 目標がはっきりしていた。 
だから、 小説上に登場する官僚、政治家、石油業界の面々の妨害や嫌がらせにも
屈することとなく、信じていた道を貫くことができたのだと思います。
しかしながら、官僚や業界団体という護送船団員の方々の
利己主義・ご都合主義は当時も今も変わらない。と改めて思わざるを得ない。
実際はこんなに生易しいものでは無いと思いますが、小説上は実名にて政治家の記載もあり、敵対していた会社名も判別しやすいので、あれこれ邪推してみるのも一考です。
 
また近代史の勉強にもなります。 たとえば、
日章丸事件の全容を知れば、イラン・イラク VS アメリカ のみならず
中東諸国 VS 欧米の旧宗主国 の根深い扮装の原因を垣間見る事ができるので、
先日も イスラム国にアメリカ人のジャーナリストが殺害されるという
残念な事件がありましたが、
負の連鎖を止める事の出来ない怨恨の連続は 正義を一方的に押し付ける
側にあるのかもしれない。
これを検証するために さらに本を読んでみるといいかもしれない。
 
出光佐三氏を生んだ日本はまだまだ捨てたもんじゃない。
日本人に生まれてよかった。と思う小説に今度はいつ?出会えるかな。
本を読むのはやはり楽しい。
そんな一冊でした。
 
海賊とよばれた男 上

海賊とよばれた男 上

 

 

 

海賊とよばれた男 下

海賊とよばれた男 下