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*乱読事始め*

気の向くままに視覚に入った本・インスピレーションを感じた本の感想を書いてみます。

狙われた自治体「ごみ行政の闇に消えた命」-下野新聞「鹿沼取材班」:暴力に立ち向かった犠牲者に黙祷。

新書 ノンフィクション

狙われた自治体

 

事実として受け止めるにしても重い。 とても重い内容の本だった。

 

官業癒着を断罪する裁判に発展した事件。下野新聞は官と暴力の癒着に着目し、事件を追っていく。

暴力団になぜ?いとも簡単に自治体が屈する事になったのか?

この事件をきっかけに、警察の民事不介入の姿勢を民事介入に舵を取り直すきっかけとなった。

不正を正すため、筋を通した結果が「死」では仕事熱心な人格者であればあるほど、

身に危険を感じるような世の中になってしまったのか?

もっと 行政が、市長が、職員が一丸となって暴力に抵抗していれば、小佐々さんは

帰らぬ人にならずともすんだかもしれない。 とても残念である。

 

たしかに行政も切実だ。 警察を頼ってばかりはいられないが、理屈だけで対応するには限界がある。連携は不可欠。 暴力で向かってくる荒っぽい輩に対応するには暴力しかないのか。事なかれ主義、波風を立てたくないといった風潮がいつの間にか、隙をつくり 悲惨な結末を迎えてしまったように思えてならない。

 

事件の経緯は2001年10月31日の夕方、栃木県鹿沼市の環境対策部参事の男性職員 小佐々 守 さん(当時57歳)は職場からの帰宅途中から行方が分からなくなったことから始まる。翌朝、自宅から200m離れた市道で小佐々さんのものと思われる自転車、鞄、メガネなどの所持品が発見され、何らかの事件に巻き込まれたものとして 栃木県警に捜索願が出される。その後、ひらすら家族は無事を願い 主の帰りを待ち続けたが、

その後、警察の捜査で見知らぬ男たちに拉致され殺害されたことが判明する。

 

そのからくりは以下の通り、

佐野市で委託された一般廃棄物を「鹿沼市」のゴミと偽り、市環境センターに搬入。

処理単価が安い市環境センターに持ち込むことで利ザヤを稼いでいたのである。

もちろん、連日大量にもちこまれるゴミを不審に思う職員もいたが、報告をしても当時にセンター長は黙認していたのである。

当然、産業廃棄物処理会社 社長の要求はエスカレート。 身勝手な振る舞いはすべて黙認するような風潮となる。

 

小佐々さんは環境庁クリーンセンター長として、産業廃棄物処理業者の社長の詐欺的行為を脅しにも屈服せず、その関係を断ち切ろうと尽力していた。

 

事件の幕引きは2003年2月6日、栃木県警は被害者を拉致監禁したとして、暴力団員の実行犯4人を逮捕する。また、犯行を依頼したとして廃棄物処理業者社長の逮捕状を取ったが、自殺しているのが見つかった。2月11日、この産業廃棄物処理業者社長と深く関わっていたと思われる市幹部職員が市役所の非常階段から自殺した。

 

実行犯4人は被害者を拉致した翌日、群馬県の山中で殺害したと自供するものの、県警の捜索でも遺体は発見できなかった。

物的証拠も乏しく、実行犯の供述頼みの裁判だが、実行犯の4人には重い判決が下された。

しかしながら、そのうちの二人は控訴し、起訴事実を一部否認。

公判で発言を求め、一転して殺害を否認したのである。

その後の裁判がどうなったのか? 気になるところであるが、遺体が見つからないことを逆手にとって、犯人たちは反撃を始めたようだ。

 

この事件は小佐々さんの殺害を依頼したと思われる、産業廃棄物会社の社長、実行犯、市役所、そして被害者の小佐々さん 4人の人が亡くなっている。

 

傍若無人な犯人たちはその後どうなったのか? 本書では確かめる事が出来なかった。

残念であるが、気になるところでもある。

しかし、一見すると のどかで平和な犯罪とは無縁のような田舎町で暴力と無縁ではいられないという事実は恐ろしい。

 

狙われた自治体 ゴミ行政の闇に消えた命

狙われた自治体 ゴミ行政の闇に消えた命