*乱読事始め*

気の向くままに視覚に入った本・インスピレーションを感じた本の感想を書いてみます。

資産フライト 「増税日本」から脱出する方法-みな平等に!公平に! 累進課税は善か?悪か? 

 

すでに大きなトピックとなっている 相続税の改正が発表されて、いよいよ今年から適用となり、遺産に係る基礎控除の金額が 5,000万→3,000万になり、東京都内に住んでいる一般市民は関係ないもんね~。なんてどこ吹く風の事と聞き流す事が出来なくなりました。

どんな内容なのか? 確認したい方は ↓のサイトでご一読した方が良いでしょう。

相続税の主な改正の内容 : 財務省

 

前置が長くなりましたが、本書は東京都内在住の小金持ち向け キャピタルフライトのHow To 本のような感じです。

独断で気になったトピックを3つ取り上げます。

 

第1章 成田発香港便 

日本人が海外で銀行口座を作成しやすいHONG KONGを舞台に

ビジネスで成功したご夫婦の「これで安心。海外口座送金方法?」のようなエピソードからスタート。思いっきり、日本の先行き不安感をあおられます。

海外赴任や留学経験者は海外に銀行口座ぐらい持っているので、珍しい事ではないのですが、

現金を無造作に持ち出ししても見つからなかった。。。。というのが凄い。

新興国なんかに入国する際には思いっきり、税関で数枚抜かれてしまいそうだし、襲われそうで、逆に不安になりますが、小市民とは発想がここからして違う。

 

第2章 震災大不況

震災後の日本経済停滞状況を(今思えば懐かしい。)

大航海時代に栄華を誇ったポルトガルの例をたとえて、現在の日本の状況といささかオーバーラップするのでは? と現在の社会状況を踏まえてこれまた危機感をあおられます。 なるほど。当時の著者は日本の見通しは暗いと思われたようです。

 

第3章 海外投資セミナー

日本の相続税は富裕層に懲罰的ー大いに勉強になりました。

以下 本書に掲載されている 先進各国の相続税 最低税率~最高税率を比較してみよう。

 

1.日本 10%~55%

2.アメリカ 18%~35%

3.フランス 5%~40%

4.イギリス 一律40%

5.ドイツ 7%~30%

 

租税の方式も異なる。

・ドイツ、フランス  遺産取得課税方式

・アメリカ、イギリス 遺産課税方式

・日本        法定相続分課税方式

アメリカやイギリスの遺産課税方式では、遺言執行者または遺産管理人が納税義務者となる。 生前に遺言を残したり、遺産管理人をおいたりすることである程度プロテクトできるのが、大きな特徴。

これに対し、遺産取得方式と法定相続分課税方式では 相続人、受遺者が

納税義務者となる。

相続税というものは、もっとも簡単に言うと、「遺産に課税される税金」である。ところがこれには 二重課税という問題が常に付きまとう。

なぜなら、遺産というものはもともと税金を払った上で残った資産だからだ。

 55%も税金を納めることになるのであれば、企業経営者でもある資産家の士気はおちるし、元資産家は一族に優秀な経営者を輩出できなければ、3代で没落の憂き目にあうことは確実。

おまけに、租税方式も 法定相続分課税方式 でしっかり取り上げられて、

「稼いでも無駄である。」と言われているようである。

ここまで、読んでみてまとめると、

 日本は「貧乏」であることの方がメリットが高いので、抵抗したところでしっかり召し上げる。

となると、資産を家族に残したいと思うのであれば、合法的に資産を海外に移すことを考えようと。。。。いうことである。

というわけで、「海外投資セミナー」が活況となり、(また 詐欺に遭う人も増えそうなのであるが。。。)

得に 海外投資リターンを売りに投資アドバイザーがセミナーを開設、海外不動産セミナーやツアーの参加者も増えてます。 その気になる参加者は意外にも

サラリーマンが多く、霞が関のキャリア官僚もいらっしゃるそうな。

しかも、すでに上海やマカオに物件を所有しているとの事。

もはや富裕層?に限ったことではない。。。。ようである。

ここでも 巷では有名なエピソード

小泉政権の時の経済財政政策担当・竹中平蔵氏は国内では数年間で4つの不動産を取得し、しかも銀行借り入れと一括返済をくりかえすという奇妙な取引を行っていた。そのうえ、毎年暮れには住民票を海外に移し、年を超えてから戻すという、合理的な節税術を身につけていた。

それを考えれば キャリア官僚が同じようなことをしても なんら不思議はないのだが。。。

 

 お役人も元大臣も 法律に抵触しないようにうまく節税対策している! ということで、なんら問題はない。

 

実際に、2013年には三菱商事の金属部門シンガポールに移転しているし、目鼻の利く若い世代の人達は日本に見切りをつけて、シンガポールやマレーシアといった節税国へ移住をしている。

<このトピックが気になる方は↓をご一読するといいかも?知れません。>

節税と資産フライトの真実、教えます | レアメタル王・中村繁夫の「スレスレ発言録」 | 東洋経済オンライン | 新世代リーダーのためのビジネスサイト

 

あの、大富豪 ジム・ロジャースも現在はシンガポールに住んでいるからね~。

 

問題なのは、 財務省国税局から指摘される租税方法であり、富裕層の立場から鑑みると 日本の相続税法は富裕層の対して懲罰的である。ということで、

彼らが自分自身の資産を守るために 海外投資・運用方法を考えるのは

致し方ないと思う。 おまけにアベノミクスは一応成功しているけれど、べらぼうな借金を抱えている以上、日本国の先行きは不安ですからね。

 

財務省国税局ー税務署は「お金持ちに課税することで格差の拡大を防ぐ」という大義名分をもろ刃を振りかざして、懲罰的な相続税法の新設や税金の取立に躍起になるよりも、税金の使い方や運用にエネルギーを傾けていただきたいものである。

ホントに、税金が無駄に使われているから(怒)特に議員先生の皆様方!

脱税したくなる富裕層の気持ちも共感できる。 

 

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