沈みゆく大国 アメリカ-堤 未果:日本人なら一度は読んでおいた方が良い。
残念なのは、タイトルが平凡すぎて 書店ではなかなか手に取ってもらえない可能性があります。
「沈みゆく大国 アメリカ」
この題名で どんな内容を想像します?
「オバマ大統領の医療保険制度改革法の行方」風に 何かサブタイトルをつけないと リーマン後の経済問題? 社会問題?系の本?と思われてしまい、医療保険の問題について書かれた本とは?想像しがたい。
本書はブックファーストで平積みになっており、さらに本書の内容について書店スタッフのPOPまで付けてあったので、私も「手が伸びて」購入した次第。
問題点を鋭く突き、全国民の保険加入義務化による新たな弊害、医療システムの行方、過酷な労働環境に置かれている医師や医療関係者から聞き取ったルポはアメリカが本当に大国なのか? 信じがたい現実を突きつける。
今後はアメリカから日本に要求されるであろう我が国の医療市場開放の圧力を著者は懸念している。
日本の心ある医師や厚生労働省の医療に対する概念がアメリカに飲み込まれてしまわぬように。
著者の
「知らないとういことは、スキをつくることになる。」
本書で著者のインタビューに答えている
ハーレム在住のドン医師のコメント
「無知は弱さになる。」
この言葉をしっかり心に刻んでおこう。
日本の国民健康保険制度の有難味を改めて認識させられる。
誰もが公平に医療行為を受ける事が出来る環境と制度。
負担だって、たった 3割です。
突然のけがや病気で破綻する(医療破綻)ような
常軌を逸脱した医療費を国民が負担しなくてはならない
システムが複雑すぎて 国民が理解できないアメリカの保険制度。
(保険商品の複雑さについては 日本も同じだけれど。。。)
WHOが絶賛し、世界40か国が導入する日本の制度を守っていけるように、社会や制度をアメリカ型に変えようとする
日本の国内政策と法改正の動きを阻止にしなくてはならない。
さらに ドーン医師の言葉を引用したい。
今の医療保険制度を、空気のようにの当たり前にあるものだと思わないことです。
制度というものは、一度奪われると取り戻すのは本当に大変ですから。奪われないためには 自分の国の医療制度ぐらいは最低限知っておくことです。
アメリカ医療にもメリットはありますよ。その実態をみると、どんな国の人でも、自分たちの医療制度に感謝することができるんです。
重い言葉である。。。
奪われたいためにも、私達は 当然のように享受している
医療保険制度と今後変わりつつある法改正について知っておくべきであろう。知らないうちに 手遅れにならないように。
久しぶりにまじめモードで読める本でした。
日本人にうまれて良かったと。。。思える一冊です。