*乱読事始め*

気の向くままに視覚に入った本・インスピレーションを感じた本の感想を書いてみます。

不動産関連本:「空き家」が蝕む日本ー日本の住宅事情を予測してみよう。☆

まったくの異業種から、新米大家となり「不動産」の世界へ飛び込んで、

早くも1年と半年。

ビジネス系の雑誌で騒がれている「空き家問題」不動産投資家の端くれとして2020年 東京オリンピック問題?とか、

今後の不動産市場を勉強しておきたい方は、チェックしておいた方が良いかもです。

いろいろな人が「空き家」問題については様々な本が出版されていますが、

著者の長嶋 修氏は 元不動産業経験者で現役の不動産コンサルタント

ざっくばらんに今後の不動産展望を赤裸々に書いてます。

とはいえ、

この手の本は参考にしているDataのリソースが同じなので、

内容もほとんど、他の「空き家」本と比べてもあまり遜色なし。

仕事で知識を得る必要がある。。。人にはおすすめ。但し文章の書き方とか個人の好みがあると思うので、立ち読みしてから ご購入をお勧めします。

 

前置が長くなりましたが、

著者の 長嶋 修氏は 叩き上げの不動産マンではなく、

別業界からの転職組。

第一章 日本の不動産 現場からの疑問

この章で、別業界から参入してきた 通常の商いと大きく

異なった 不動産業界の商習慣に遭遇。

ことごとく、疑問点を挙げていきます。

この章はかなり衝撃的。 以下 サブタイトルと

私なりの視点で選んだトピックです。

 

「価格査定の驚くべき実態」

>かなりあいまいで主観的な価格設定。

どうも価格査定に関するガイダンスや規定、根拠なんぞは無いらしい。 あえていうなら、「取引事例比較法」 があるが、これも検証がなされていない、不明瞭な価格設定の事例。

結局は営業マンのカンと経験のみに基づくもので決まる。

 

「物件情報の囲い込み」

>物件情報は保留される。

簡単にいうと、他社からの客付をさせないように、優良物件の情報流さず手元に保留する。

「建物の知識は問われない 宅地建物取引主任者

宅建の資格試験は法律の知識を問う試験ですので、

建物の知識がある人は。。。意識の高い人を除いて

ほぼ皆無。雨漏りの原因なんぞ質問しても 答えはでません。というよりも 答えられません。

 

「不動産の価値と住宅ローンの奇妙な関係」

>金融機関は不動産担保価値は二の次。本人の属性を重視。

本人の属性とは 年収や勤務先、勤続年数など。

安定的な収入が見込めるか?どうか?が重要。

 

「入居直後から債務超過になる?」

>買ったそばから建物の価値はガタ減り。

日本の住宅は25年でゼロ査定。

新築にもっとも価値が高く、人が住んだ瞬間に2割減。

10年で半値、25年でゼロ査定。

この価値下落スピードは住宅ローン残高の目減りを上回ってしまうそうです。

しかもこれは「地価が変わらない」という前提条件。

都心部の優良一等地以外は人口、世帯数減や住宅余剰の影響で地価下落が予想される。。。。

そうなると、入居直後からいきなり、債務超過

 

本書の肝である 第二章 「空き家」が増え続けるのはなぜか?

こちらも読んでいてぞっとしてきます。

「空き家対策に多額の税金を使う時代に」

そのまま、原文を引用します。

すでに、現時点で 2008年総務省のデーターによれば、

その当時で全国の空き家数は760万戸、空き家率で13.1%

と7~8件に1件が空き家という状態。

1963年から2008年までの45年間で

住宅数の伸びが3倍強であるのに対し、空き家数は10倍以上に跳ね上がっています。

 

この調査は5年に1回 公表されますが、(2014年7月に新しいデータが公表されている)

さらに今後は加速するもの。14%を超えているものと予想される。

 

東京23区内だからといって安心していられない。

持家マンションの空室率は

中央区 34%と実に3件に1件が空き家という状態。

ついで、渋谷区・千代田区が21%

品川区が19%

どれも超がつく都市部

賃貸マンションでは

千代田区が36%

中央区が28%

目黒区27%

荒川区19%

台東区18% と続きます。

賃貸アパートは中央区 36%

目黒区35%

荒川区・足立区32% と高くなっています。

 

足立区では老朽化が原因で倒壊の恐れのある物件が1700件以上あり、

そのうち50件超が特に危険と診断され、条例を制定したようです。

木造に50万円、非木造で100万円を上限に助成を行い、持主に解体を促す。

つまり、自治体が税金をつかって、解体を促す。

空き家対策に多額の税金を使う時代に突入したということですね。。。

恐ろしい。

 

その他の項目は 空き家のまま 放置しておいた方が固定資産が安い。

などなど、前回 感想をかいた「空き家問題」とダブりが多いので、割愛。

 

「空き家率が30%を超えた世界にはどんなことが起きうるのか?」

都市環境が悪化し、居住快適性が極端に低下する。

となると、治安が悪くなり、犯罪が起きやすくなる。また、人が住んでいない為に

行政のコストも割高になるようです。

コンパクトシティの取り組み(富山市)もあるが、こうした事態が日本全国津々浦々に広がっていくことが予測される。

 

「なぜ空き家が増えるのか?」

著者はバッサリここで言い切ります。

必要以上に新築を造りすぎるから→ ではなぜ? 新築を造りすぎるのか?

宅建設は景気対策の道具だから!

というわけで、このタイミング(つまり民主党政権から自民党政権への移行)での

東京オリンピック開催決定はアベノミクスを加速させたということですね。

新築住宅建設は経済波及効果が高い!ので。 速攻力があるようです。

「新築住宅建設に税金を投入することで空き家を増やし、その対策の為にまた税金をつかう。」という構図になっていうわけです。

結局、元に戻るのか?

いつまで、税金の無駄遣いが続くのか。。。

結局 日本って

田中角栄以降の政治家は同じ事の繰り返しばかりで、むなしくなってきます。

バッファの大きい 土建と建築業に依存してばかり。 

お役人様 もっと有意義な税金の使い方を その優秀な頭脳で

考えてほしいものです。。。。。 

(036)「空き家」が蝕む日本 (ポプラ新書)

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