*乱読事始め*

気の向くままに視覚に入った本・インスピレーションを感じた本の感想を書いてみます。

臆病者のための億万長者入門

金融リテラシーの低い人に贈る 橘 玲氏からのメッセージ

を込めた本書。

冒頭のはじめから、

「金融業界の不都合な真実をすべてのひとに」と打ち上げ花火をあげており、あれ? なんだか どっかの環境団体?(アル・ゴア氏?)のプレゼンみたい?だな。。。。

どんなものかと?思い読み進めてみると、

第一章 資産運用を始める前に知っておきたい大切なこと。ここで至極当たり前の事が書かれています。

お金持ちになるための方法ー実は3つしかない。

ここでどんな運用や金融商品を伝授してくれるのかしら。。とわくわくしていると

ガクッとこけます。

①収入を増やす。

②支出を減らす。

③資産を上手に運用する。

とあり、総資産=収入-支出+(資産×運用利回り) 

勤労と倹約、リスク管理した堅実な運用をする「賢い投資家」になることだ。で締め。

至極当たり前の事をもっともらしく書いて、肩すかしをされてる感じ。

その次もこれからのお話を進める前に、

「君たち、わかってる? 年金問題は個人で解決できる問題なんだよ?」

とばかりに 市場経済で私達がお金を手にする2つの方法。

①総資本=人的資本+金融資本

人的資本とは 勤労。  金融資本とは下の方程式。

②金融資本=預貯金+不動産+年金+相続財産

②を運用することによって、さらに

1)資産のリスクを最小化

2)資産のリターン(利益)を最大化

3)資産運用に必要なコストを最小化

 

リスクを取りたくなければ、お金はすべて銀行に預金しておけばいい。最大化したければ、レバッジをかけたハイリスクなFXがいいだろう。

と。。。。ごく当たり前の事を書き連ねた挙句、

老後は誰もが一人の投資家なので、「定年」といった強制解雇を自らの努力と工夫によって、個人的に解決し、長く働いて、老後を短くする方法を考えよう。

人的資本の運用を真剣に考えよう! と。。続く。

まあ。。。。確かにアメリカには 「定年」という制度はありませんけどね。

 

この調子は次の第二章「金融の常識」にだまされないために。

で続く。

宝くじは割に遭わないギャンブル。 愚か者に課せられた税金 と

続き、宝くじに大金を払っている限り、資産運用に成功することは永遠にない。

と宝くじは国家が親となって、夢見る一般市民をだますための

効率の良い ぼったくり だ! と仕組みを教えてくれる。

うーん。 この宝くじの仕組みについては、橘氏の別の著作から開示いただいた内容のようであるが。。。 理解できていない人が多いと感じているのでしょうか。

何度も説明しているのに、宝くじにお金を使う人が存在することにご立腹のようです。

その怒りは 「不幸のくじ」生命保険の正しい考え方 まで、続きます。

この章は、まさに。。 橘氏のおっしゃるとおり、宝くじより割の悪いギャンブル。

それは、外れることに意味があるギャンブルですから。。。

日本の大手の生命保険会社がこれまで保険の原価を企業秘密として一切公表していないことからも理解できるように、保険会社が損をしないようにスキームが組まれているということなのです。

<余談ですが、原価を公表しているのはライフネット生命一社 のみ> 

というわけで、ただしい 生命保険の選び方は

①もっとも経費率の低い生命保険に加入。

②保障は必要最低限

③保障が不要になったら、すぐに解約する。

 

以上3点を網羅していれば、それでOK!

> 保険はなんだかわからいまま契約をしてしまい、

毎月、20,000円ぐらいのお金を強制的に銀行引き落としで

契約→支払させられてしまっている人が多いと思います。

契約の内容をきちんと見直した方がよさそうです。

貯蓄型の保険だったのに。。。 「定期保険」 となっていると60歳を超えた時点で、期待していた金額の受け取りができなくなる可能性があります。

自分が契約した保険が 「定期」なのか?「終身」なのか?また、どんな保障を受ける事ができるのか?確認してみましょう。

以上のようなおとぎ話が続いた後、

「資産運用の4つの原則」をしっかり頭に叩き込みましょう。

①確実に儲かる話はあなたのところには絶対来ない。

②誰も他人のお金の事を真剣に考えたりしない。

③誰も本当の事を教えてくれない。

④自分の資産は自分で守るしかない。

>>>うまい話はすべて無視!するのが一番。

きっと投資詐欺にだまされている人を見て、苦々しく思っているんでしょうね。

橘氏のストレスを感じ取れます。

 

第三章 臆病者の為の株式投資法

ここからは、少し論調が柔らかくなり、日本株の暴落をどうやって的中させたか?

やや自慢気味になり。。 カラクリを説明してくれています。

 

第四章 為替の不思議を理解する

こちらも以前 橘氏の著書で取り上げた内容と重複するような?気がしていますが、

ベトナムドンの高金利定期預金、 カンボジアの年利7.75%の米ドル預金

についてカラクリを説明。2~3年前に騒がれていましたが、

ここでさらにおさらい。 興味のある人は自己責任で挑戦してみては?

と締めくくります。

11.外貨預金に為替リスクはない

こちらは本書をお確かめあれ。 橘氏の見解と論証が展開されます。

12.FXでふつうのおばさんが億万長者になった理由

経済には直感的に正しい理屈がじつは間違っている ということがたくさんある。

これを「ブードゥー経済学」と呼び 為替レートについての誤解の典型です。

投資がギャンブルの一種。 金融市場というのは、そういうところなのだ。と理解することである。

 

第五章 マイホームという不動産投資

マイホームと賃貸、どちらが得か。

マイホームの購入というのは不動産投資以外の何物でもない。

地価が上昇すれば、得をするし、下落すれば損をする。。。。当たり前の話ですね。

リスク耐性の高い企業やファンドが不動産を保有し、リスク耐性の低い個人はそれを賃借した方が系税的に合理的だ。。。ということになる。

しかし、だれもが経済的合理性を考え始めると、不動産開発会社はすべてのリスクを自ら負わなければならなくなる。それよりもマンションや建売住宅で転売し、

ノーリスクで儲けた方が勝機あり。

というわけで、あの手この手で マイホームの夢 を不動産会社の営業は語るのです。

そして、この章の肝である。。。

マイホームが得な理由な借金にある。

> 賃貸よりも購入した方がお得。 つまり 借金は得ですよ! 

という売り文句の説明。

だが、得になるのは 地価が上がる ! とういことが前提にあって成り立つ理論であり、地価が下落したら。。。レバッジをかけた投資はその分だけ損失が大きくなるのである。。。。。

というわけで、借金のリスクをオブラートに包むように隠すことにより、

賃貸は損! マイホームは得!というセオリーが生まれたようです。

不動産購入は 真剣に取り組もう。。。 

適正価格を計算し、不動産の収益還元法でちゃんと計算してみよう。

現在は時代に追いついて、不動産業界も世界標準の考え方になり、収益還元法の価格で取されるようになってきたようであるが。。。

東京オリンピック が引き金となり、さらなる 悲劇が生まれそうな気配を感じる。

株式市場と不動産市場を比較してみると。。

不動産市場は金融商品でありながら、まだまだ不透明で閉鎖された取引市場であると

いうことがわかる。

①不動産は相対取引

②不動産取引では売り手の希望価格しかわからない。(時価は不明)

③不動産取引では顧客を差別するのは当たり前。

④不動産取引では最低限の情報しか得られない。

⑤不動産仲介手数料はいまだに割高。

市場が閉鎖的であればあるほど 素人はぼったくられる。

不動産取引は先物取引よりずっと危険なのだ。。。 

この先に続く

インサイダーマーケットには手をだすな。

「家賃保証」という空約束。

掘り出し物の物件を買ったのはだれか。

不動産の営業マンは賃貸を選んでいる。

不動産神話と進化論

では 割愛するとして。。。。

マイホームの購入にあたっては、自分が不動産というリスク資産にレバッジをかけて

大きな投資をしているという自覚をするべきである。

それを踏まえた上で、 賃貸かマイホームか? 考えた方がよさそうである。

 

第六章 アベノミクスと日本の未来

ここからは年金問題。 年金財政を健全化する3つの方法を挙げ、

①年金保険料を増やす

②年金支給額を減らす

③資産の運用利回りを上げる

またまた、至極当たり前の話からスタート。

そして 締めは「国家破綻」はこわくない。 未来の3つのポイントを挙げ、

①楽観シナリオ

②悲観シナリオ

③破滅シナリオ 

を挙げている。 どれを引いても何とかなりそうだ。

現状を見極め ハルマゲドンに備えて、やっておきべきことをシュミレートし、

有事に備える事が大事だ。

 

終章 ゆっくり考える事のできる人が資産運用に成功する。

導き出された結末は これからの資産運用は儲けることではなく、労働市場から富を獲得できなかったときの為の保険と考えるべきである。高齢化社会の悠々自適は魅力を失い、長く働くことが新しい価値になる。

投資の果実を収穫するのは ずっと先でいい。らしい。

そうだろうか? ゆっくり考えすぎて、何もできないまま その場に立ち尽くし、

惜しみなく国家に奪われる人が増えていくような気がしてならない。

本書を読んで 金融リテラシーが高まるのはどうか?はわからない。

それは個人差によるから。 でも 本書をきっかけに

お金の事についてきちんと考える時間をつくる人が多くなることを

切に祈る。

 

 

臆病者のための億万長者入門 (文春新書)

臆病者のための億万長者入門 (文春新書)